ドメスティックな企業が「グローバル化」へ経営を転換

   私はアサヒビールに入社して延べ6年ほど営業を経験し、それ以外は約30年、労働組合専従、人事、総務と、人と組織に関わる仕事をしてきた。お話できるのは経験を踏まえた人事論だが、少しでも皆さまのお役に立てばと思う。

   アサヒグループの事業領域は、国内酒類事業をはじめ、飲料事業、食品事業などのグループ事業や国際事業で、アジア、オセアニアを中心にかなりM&Aをやったせいもあって、2013年売上高は約1兆7000億円、従業員約1万8000名(連結)となっている。とはいえ、国際事業の売上高はまだまだ11.2%に過ぎない。日本的な企業が、グローバル展開の中で苦労しながら前進している最中である。

 私が入社した頃、当社は決してブランド力で売れるビールメーカーではなかったが、スーパードライを発売し、爆発的に売れたことが大きな転機となった。ビール事業モデルとしては「創って、造って、運んで、売る」、つまり研究開発、生産、物流、販売というプロセスをどうすれば効率的に生産性高く行えるかを追求し、ここを相当磨いてきたことは間違いない。

 しかし一方で、国内酒類市場の動向を見ると、少子化などで飲酒人口はどんどん減っている。全アルコール市場は縮小傾向であり、長い目で見れば今後も減り続けていくトレンドにある。しかも現在、酒類の売上は54%だが、利益は90%以上が酒類からである。

 こうした環境の変化の中で、全体の方向をどのように考えていくべきか。このまま縮小均衡してスペシャル、ニッチで生きるのか。それとも世界に打って出るか。そういう検討を行い、当社はグローバルに舵を切る決断を下した。あわせて、伸びている飲料、食品という酒類以外の事業領域をさらに拡大していこうということになり、2011年、グローバル化を含めた今後の大きな経営の転換に向け、ホールディングス化を実施した。

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