パネリスト
アサヒロジ株式会社 代表取締役社長(元アサヒビール株式会社 常務取締役 常務執行役員 経営企画本部長兼人事部長)丸山 高見氏
一般財団法人労務行政研究所 編集部「jin-jour」編集長 原 健氏

モデレーター
HRプロ 代表/HR総研 所長 寺澤 康介



大きな環境変化の中で「働き方」をどうシフトするか
寺澤 まず私から、今日のテーマに関連して話題提供をさせていただきます。いま起きている非常に大きな環境変化とはどういうものでしょうか。ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏は、著書『ワークシフト』で、ネットなどのテクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化(意識・生活様式の変化)、そして、エネルギー・環境問題の深刻化という5つを挙げています。

 こうした環境変化の中で「働き方」の常識を問い直す必要があるとグラットン氏は主張し、働き方をシフトする方向性として3つのことを示しています。第1に、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ。どんどん学び直しをして、その都度専門性をつけていくことが必要だということです。第2に、孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ。もっと企業の壁を越えて協力してイノベーションを起こしていくことがあるべき方向だとしています。第3に、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ。価値観の転換が求められるということです。

 グラットン氏の言っていることは、日本に当てはまることが非常に多いと思います。とりわけ人口構成の変化と長寿化という環境変化の影響は甚大です。2011年を基準として2050年に世界人口が133%に増加する一方、日本人口は76%に減少するという推計データがありますが、生産年齢人口に限ればさらに激減すると見られます。2050年の日本のGDPは中国・米国の1/6、インドの1/3以下の規模になるという推計もあり、このままでは日本の存在感は低下していきます。

 劇的な変化にさらされる中で、日本企業には大きな変化が求められていますが、必ずしも変化にうまく対応できているとは言えません。国内市場の縮小、経済のグローバル化、新興国の経済成長に対応して、産業構造の転換、日本人のグローバル化、外国人の積極的な採用が行われるべきですが、たとえば、日本では外国人労働者の受け入れが進まず、先進諸国と大きな差がついています。

 また、変化に対応して、日本企業の人事も変わるべきでしょう。私たちが実施した人事アンケートでは、「人事部門は変わる必要がある」と答えた方が65%と圧倒的多数でした。

 今日のパネルディスカッションでは、激動の時代にあって、働き方が変わり、勝てる組織というものが変わってくる中で、今後、あるべき組織と個の新しい関係とはどのようなものなのか、お二人に伺っていきたいと思います。

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