カリスマ性は生まれつきではなく行動によりもたらされる

   4万人のリーダー達が40万人の部下・メンバーから評価を得た結果を分析したところ、70の具体的行動のうち、強力なリーダーシップを持つ人に共通する20の行動があることがわかりました。

 さらにリサーチでは2つの重要なことを発見しました。1つは、カリスマとはすべてを行動にまで落とし込むことであるということ。もう1つは、学ぶことで誰でもカリスマ的リーダーになれるということです。

 生まれつきのカリスマはいないのです。カリスマとは、身長や髪の毛の色のような属性ではありません。リーダーが人と触れ合う様子や伝えたメッセージによって、他の人が受け取るものです。ある特定の行動によってもたらされるものなのです。

誰でもカリスマ的リーダーになれる5つの重要行動

Leadership Charisma (リーダーシップカリスマ)
   私の著書『リーダーシップカリスマ』では、調査から抽出した「誰でもカリスマ的リーダーになれる20の重要行動」について説明していますが、今回はそのうちの5つについて、ご紹介します。

1.「ポジティビティ」の案内役となる
 「2.9013」という数字をご存じですか。これは「ロサダライン」と呼ばれる成功したチームに関する数字です。成功したチームでは、ネガティブ1に対して、ポジティブ2.9013である、というもの。つまりリーダーとメンバーの間の会話でネガティブなメッセージが1つあれば、その3倍はポジティブなメッセージが必要である、ということです。少なくとも3倍、理想的には6倍とも言われています。

2.効果的にコミュニケーションを図る
 3倍から6倍のポジティブなメッセージを発信するには、それを充たす行動が必要です。人々をエンゲージするための影響力とは、プレゼンテーションがうまいことではなく、人の話を聴くことです。漢字の「聴く」は耳で聞くより十四倍、心を込めて聞くと書く、と私は教わりました。これは簡単なことではないので、その手法として2500年前にアジアで生まれたMindfulness Meditation(瞑想)について欧米の会社の重役達は学んでいるほどです。

3.自分のビジョンを語れる
 皆さんの会社では、ロビーに会社のビジョンを掲げていますか? では社員が出社して会社のビジョンステートメントを見たら元気がでるかというと、そうではないでしょう。会社のビジョンは会社が達成したいものであり、その人のビジョンではないからです。
 しかし一人ひとりには人生に何を求めているかというビジョンがあるはずです。会社のために働いてくれるならば、あなたの目標も達成できますよ、ということが言えればいいわけです。そのためには社員のことを本人以上に良く知ることです。強みは何か? どのような成功を描いているか? ベテランと若手では知るべき内容も違うでしょう。彼らを理解し、彼らのビジョンとあなたのビジョンの方向性が重なるようにカスタマイズするのです。そして我々の目標を達成すれば、あなたの目標も達成できますよ、と説得しなければなりません。

4.エネルギッシュかつ情熱的に
 職場で、ある人が入ってくると皆が暗くなってしまう、逆にある人が入ってくるとイキイキしてくる、ということはありませんか。それは感情が伝染するからです。組織においては最も責任をもっているリーダーの精神状態が伝染します。
 人は、自分が嫌いな仕事では情熱的になれません。そしてリーダーが情熱的でないと、メンバーも情熱的になれません。ですから一番良いのはリーダーが情熱的になれる仕事に就いていることです。

5.周りの人の「偉大さ」を認める
 最後は、リーダーシップの本に書かれている「人を認める」ことが、なぜ機能するのかです。カリスマ的なリーダーが、部下が良い仕事をしたときに認めるというシンプルなことをするだけで、偉大な効果を上げることができるのには、理由があります。それは脳の化学反応です。仕事を認められると脳内にドーパミンが放出されて、誇りや喜びの気持ちで充たされます。人を認めるにはエビデンスが必要です。なぜこのように認めるのか、という具体性をもった裏付けがいるのです。
 承認の心理学に「返報性の原理」があります。人種や文化に関わらず、人は便宜を図ってもらったら同じことを返さなければならないと感じる、というものです。リーダーが承認すれば、メンバーは承認を返そうとします。それはカリスマ性のあるリーダーとエンゲージしていると感じることになります。自分ではわかっていなくても返報性の原理の引金が引かれているのです。

リーダーシップカリスマを向上させるには何を変えるべきか?

Leadership Charisma (リーダーシップカリスマ)
   カリスマ性のあるリーダーとそうでないリーダーの違いは、行動の違いです。今日お話しした5つの行動は誰にでもできることです。これらの行動がカリスマ性を増減させるのです。

 子供の頃、好きだった万華鏡は、少しのビーズが動くと全体の模様が変化しました。人の行動も同じで、すべてを一度に変えようとせずに、少しずつ行動を変えていけばやがて大きな変化になるのです。

 では自分のリーダーシップのどこを、どのように変えていったらいいのでしょうか。カリスマ的行動の60%は、皆さんはすでに持っています。40%が欠けているのですが、どういった行動がその40%なのか、測定できなければ自分でマネージできません。プロファイル社のサーベイでは皆さんのカリスマ度はどのようなのかを分析できますので、ご興味のある方はぜひお申し出ください。
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