リーダーの最大の課題はメンバーのエンゲージメントを引き出すこと

   プロファイルズ・インターナショナルは、顧客企業が適切な人材を選んで、リテンションを確保することを支援しています。私はそのために世界中に赴き、各国でリーダーが直面する問題について取り組んでいます。
Leadership Charisma (リーダーシップカリスマ)
   さて、「リーダーとしての一番大きな課題は何ですか?」と質問すると、皆さんは「ポジティブな成果を上げること」だと答えるでしょう。しかしビジネスではいろいろなことを実行したとしても、成果が出ないことがあります。コストを削減する、プロセスを再構築するなどして、最後に残るのは人材です。弊社の膨大な調査の結果、ビジネスの成果はチームメンバーがいかにエンゲージしているかによることがわかっています。つまり、彼らが会社やリーダーのために仕事をしたいと心から思っているかどうかです。

 エンゲージメントは、何によって引き出されるのでしょうか。2つの重要な要素があります。第1はジョブ・フィットです。仕事がその人にぴったりなのか、モチベーションの高い環境に置かれているのか、本当にやりたい仕事を与えられているのかということです。第2はリーダーシップです。リーダーの責任は、人々の成果を生み出すことです。ジョブ・フィットとリーダーシップによって、人が心身ともに仕事に打ち込むのか、あるいは単に9時から5時の仕事をするのかの違いがあるわけです。

  ‘働きがいのある会社ベスト100’を発表しているフォーチュン誌の調査によると、エンゲージメントは3つの関係から成ります。最初は従業員とマネジメントの関係。2番目は従業員と会社・仕事との関係。3番目は従業員同士の関係です。

 我々は定評のあるマネージャーに共通しているのは何なのか、どうやって社員エンゲージメントを引き出しているのか、高名なリーダー約40人について調査しました。たとえば、アップル社のスティーブン・ジョブス氏、ヴァージン社のリチャード・ブランソン氏、eBayのピエール・オミダイア氏、松下幸之助氏や本田宗一郎氏もいます。

 彼らがリーダーシップスタイルやマネジメントについてどのようなことを書き残したのか、また周囲の人によってどのように書かれてきたのか、そしてエンゲージメントがどうだったのかの調査をしました。エンゲージメントとは、働く人が組織に対して思い入れを持ち、より自発的に仕事で努力したいと思う影響力を言います。

エンゲージメントを引き出すのはリーダーのカリスマ性

Leadership Charisma (リーダーシップカリスマ)
   リーダーが人々をエンゲージすることができるとき使われる言葉が「カリスマ」です。カリスマとは、周囲の人から肯定的な印象を持たれ、忠誠心と献身を刺激する要素です。カリスマ性があると、政治的にも、社会的にも、そしてビジネスの世界でも人々のエンゲージメントを引き出せるのです。

 調査結果から、我々は「リーダーシップカリスマ」を以下のように定義しました。
 「カリスマ的リーダーは、働く人が組織の目標に向かって精神的にも知的にも努力できる職場環境を創造し、維持していきます。周りの人をエネルギッシュかつポジティブにすることで、最善を尽くさせます。そのうちに、人がもっと頑張りたくなるような共通の目的意識を創りだし、プライベートの時間までも仕事に捧げる人もでてくるほどになります。」

 リーダーにカリスマ性をもたらすのは何なのかについて、弊社の「CheckPoint」システムで調査しました。これは30年間かけて作られたモデルで、70の具体的な行動が特定されており、リーダーシップ能力、マネジメント能力を測定できます。本人と周囲の人達への360°サーベイにより、リーダーがどの程度、どういった資質を示しているかがわかります。

カリスマ性は生まれつきではなく行動によりもたらされる

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