HR総研が発行する年次報告書「HR総研 人事白書2015」より、人材育成について一部データを引用してレポートする。第1回は「教育体系」について。

「教育体系」の有無を調査したところ、65%の企業が教育体系は「ある」と回答している。
設計・見直し時期は「2014年」が13%、「2010年~2013年」が46%と、合せて59%の企業で直近の5年間で設計、あるいは見直しがされている。一方で、1999年以前に設計・見直しした教育体系を維持している企業も1割存在する。

教育方針は「社員全体の能力・スキルの底上げを行う」50%、「選抜した人材に対して教育投資を行う」20%、「両方とも同程度行う」27%という結果となり、「社員全体の底上げ」を意識する企業は77%を占めており、「選択と集中」が謳われる現在においても、根強い考え方であることがわかった。

なお、実際の教育研修が、教育体系通りに実施されているかを調査したところ、「すべて教育体系通りに実施している」企業は半数以下の44%に留まり、「教育体系通りに実施していない」との回答も7%存在している。
また、現時点で、教育体系を改定する予定がある企業は55%と過半数にのぼっている。

ビジネス環境の変化に伴って、教育体系はかなり頻繁に見直している企業が少なくない。

※企業規模別、メーカー/非メーカー別の傾向等、詳細はログインの上、ご確認ください※

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■企業規模により異なる「教育体系の有無」

まずは「教育体系の有無」を調査したところ、「ある」と回答した企業が全体では65%を占めた。
ただし、企業規模別に見ると、その差異は大きく、1001名以上の大企業では、88%の企業が「ある」と回答しているのに対し、300名以下の中小企業では、46%に留まっているのが現状である。


〔図表1〕教育体系の有無(企業規模別)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【1】

■設計・見直し時期は直近5年が59%、20世紀の教育体系を維持する企業も

現在の教育体系がいつ設計・見直しされたものかを聞いたところ、全体では、「2014年(昨年)」が13%、「2010年~2013年」が46%と、あわせて59%が、直近の5年で設計・見直しがされている。

しかし、メーカーにおいては直近5年での設計・見直しは47%であり、非メーカー(直近5年での設計・見直し:65%)と比較して古い教育体系を踏襲している企業が多いと言える。
メーカーの中には、1980年以前から教育体系が見直されていない企業が11%も存在しており、教育体系の形骸化を懸念せざるを得ない。


〔図表2〕教育体系の設計・見直し時期(メーカー/非メーカー)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【1】

■根強い「社員全体の底上げ」という意識

現在の「教育方針」について「社員全体の底上げ」と「選抜人材への投資」どちらを優先するかを聞いたところ、全体では「社員全体の底上げを行う」と回答する企業が半数(50%)を占めた。
「(社員全体/選抜人材)両方とも同程度」と回答する27%と併せると、77%の企業が「社員全体の底上げ」を意識していることがわかる。
企業規模別に見ると、特に従業員規模301名~1000名の中堅企業で、「社員全体の底上げ」(61%)が重視されており、大企業(40%)と21ポイントの差異があった。
 なお、「選抜人材に対して教育投資を行う」を選択した企業は、企業規模に関わらず2割程度である。


〔図表3〕現在の教育方針(企業規模別)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【1】

■すべて「教育体系どおり」と行かない現状

では、教育体系に沿って人材育成は実施されているのだろうか。この問いに対し、「すべて教育体系通りに実施している」と回答した企業は半数を割る44%であり、「教育体系のうち一部を実施している」49%を下回っているのが現状だ。
興味深いのは、教育体系設計の時期別に見ても傾向に大きな差異がないことである。直近5年で設計・見直しをした企業でも、すでに実態にそぐわなくなっている一方、未だに20世紀に設計した教育体系通りに、忠実に実行している企業もある。教育体系設計とは、非常に難易度が高いものであることが伺える。


〔図表4〕教育体系と、人材育成の現状(設計・見直し時期別)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【1】

■半数以上の企業が「教育体系の改定を予定」

なお、教育体系の改定が現在すでに予定されているかを聞いたところ、全体では55%の企業が「予定がある」と回答している。企業規模別による大きな差異はみられない。
メーカー・非メーカー別では、メーカーのほうが古い教育体系を維持している企業が多かったと同様、今後の見直し予定においても、メーカーの方が、「予定がある」企業の割合は少なくなっている


〔図表5〕教育体系の改定が現在すでに予定されているか(メーカー/非メーカー別)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【1】

なお、教育体系の改定は、コンサルティング会社や研修会社等の支援サービスを利用せず、内製で行う企業が7割近くを占めている。

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業人事責任者・担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2015年1月14日~1月27日
有効回答:149社(1001名以上:42社、301~1000名:44社、300名以下:63社)

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