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家族手当・住宅手当の廃止

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2014年08月08日

成果主義型賃金の導入など、給与制度を改定するときに必ず問題となるのが諸手当の取り扱いで、特に、多くの企業で支給されている家族手当と住宅手当は、存続か廃止かで頭を悩ませる。
支給対象者も多く、金額も結構なものとなるので、廃止しようとしても労働組合などの同意が得られず、結局廃止できなかったという話もよくある。

賃金というのは、言うまでもなく労働の対価として支払われるものだ。合理的に考えれば、労働の対価とはいえない、家族の数や住居という仕事以外のものを基準に支給するのはおかしい。
ただ、一方で、賃金は労働力の再生産のために支給するという考え方をすれば、その支えとなる家族や住居に対して手当を払うのは、一定の合理性があるという見方もできる。
この辺は、各企業の考え方次第なので、どれが絶対に正しいというものでもないだろう。

ただ、最近は前者の見方が優勢を占めてきているのは事実で、家族手当や住宅手当は減少傾向にある。
東京都の「中小企業の賃金事情」によると、住宅手当のある会社は平成12年調査では61.3%だったが、平成25年調査では43.0%となっている。また、家族手当は、平成12年調査では75.3%だったが、平成25年調査では56.9%と、これも減少している。

減少の理由としては、成果主義型賃金が広まり給与に仕事要素が強調されるようになったこと、固定的な賃金原資を流動化させる必要性が高まってきたこと、さらには支給基準・実態が実質的に男女差別となっていることからその解消を求められるようになったことなどが考えられる。

ところで廃止といっても、スッパリと切り捨ててしまうわけにはいかない。労働条件の不利益変更となり、合理的な理由がなければ認められないからだ。特に賃金の不利益変更は、「高度の必要性に基づいた合理的な内容」が求められる。

そこで、廃止をするときには、

① 支給対象者の基本給に吸収する
② 全社員の基本給等の原資にする
③ 他の福利厚生制度で代替する

など、社員が不利益を被らないような対応が基本となる。

①は、支給総額では現状維持のため、最も受け入れられやすい方策だ。賃金テーブルの上限を超える場合は、調整給を支給して一定期間で償却するのが一般的である。
②は、手当分を昇給やベア、業績給等の原資にするものだ。非対象者は得をするが、対象者には損となるため、彼らの抵抗は大きくなる。ただし、家族手当や住宅手当は恒久的なものではないため、「たまたま今もらっている人だけが恩恵を受けるのではなく、全社員で分かち合うべき」という考えも説得力を持つ。
③は、入学祝い金や子ども手当のような一時金の支給、その他の福利厚生制度の財源とするものである。元々の福利厚生制度が充実している大企業向けの方策である。

なお、①②は両方とも、基本給の増額につながるので、会社から見ると、残業手当(除外賃金だった住宅手当・家族手当が基本給に含まれることで計算基礎となる)や賞与・退職金(基本給ベースで支給する場合)の高騰の要因となることに留意しておく必要がある。見方を変えると、これは社員へのアピール材料ともいえる。

いずれの対応をとるにしろ、大切なのは企業としてのメッセージを込めることだ。たとえば、「社員一人ひとりの貢献を反映させたのがこれまでの処遇なのだから、これを尊重して①にする」だとか、「社員の和を尊ぶ当社では、長期的な公平性の観点から全社員で分配するのがベストと考えて②にする」といった具合である。こういったメッセージを伝えることで、社員の納得度は格段に高まるものである。

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