働き方改革:生産性を上げて残業を確実に減らすには?

働き方改革で残業できる時間の上限が規制されることになり、めでたしめでたしと思いきや、仕事量は以前と変わらないため、早朝に出社してサービス残業をしていたり、お昼休みに仕事をしていたりなど、「残業は減っているが、働いている時間が変わらない」というところがあるようです。当然、こういった状況は、本来の働き方改革の趣旨ではありません。生産性を上げて利益を確保しながら、確実に残業を減らすには、いったいどうすればよいのでしょう。

時間に対する感覚を鋭くする

「日本人は、始業時間には非常に厳格だが、終業時間となると誰も気にしない」というようなことを聞いたことはありませんか?

確かに私たちは、「始業時間に遅刻」することには敏感ですが、「終業時間に遅刻」する、とはあまり言いませんね。でも、実はこれが、業務の生産性を上げるヒントになるのです。そこで、時間を強く意識することで生産性向上につなげる2つの方法を解説します。
(1)「各業務にかかっている時間を測る」

何だそんなことか、と思う方もおられるかもしれませんが、実践している人は少ないものです。

具体的な方法としては、「見積を作成する」、「メール文を作成する」、「上司との打ち合わせ」など、1日にこなすさまざまな業務がそれぞれ何分かかっているのかを、メモ書きでいいので記録しておくのです。そうして、1日にどれだけの仕事をどれだけの時間をかけて行っているのかを「見える化」します。

次に、「見える化」した業務について、「あと3分短縮するにはどうすればいいか?」を考えます。どこかにムダな手間がないか?ショートカットできる方法は?などを考え、これも軽くメモしておけばいいでしょう。

例えば、メール作成の場合、テンプレートを作っておいて作成時間を短縮する、パソコンの辞書機能を使って「いつもお世話になっております。」などの定型文を短縮する、社員同士のメールでは「お疲れ様です」を省く、など。

ある企業では、これまで帰社後に事務所で現場報告書を作成していたのですが、従業員の方にタブレットを貸与し、移動時間を利用して、帰社までに報告書を作成するようにしたそうです。そのようなわずかな時間でも、「塵も積もれば山」となります。

こうした取り組みを行う際、一番大事なのは、思いついたアイデアをチームで「共有」することです。そうすれば、結果的に、色々な角度から業務を見つめ直すことになり、チーム内の生産性が底上げされることでしょう。

また、共有したアイデアを凝縮して、新人教育に使えば、新入社員さんの成長スピードが上がることも期待できます。
(2)コアタイムを設定して集中力を上げる

一般的にコアタイムというと、フレックスタイム制でよく使われる言葉ですが、ここでは「コアタイム=集中タイム」を指します。

具体的には、1日のうち、まずは30分、どこかにコアタイムを設定します。そしてそのコアタイムの間は、「話しかけない」、「電話をつながない」を徹底します。

声をかけられて業務を中断され、元の業務に戻ろうとしたが、集中力が切れてペースを戻すのに時間がかかってしまったという経験はありませんか?これは単に業務が中断しただけでなく、元のペースに復帰する時間までも消費してしまっていることになるのです。
るのです。

ですから、何人にも侵されないコアタイムを設定し、その間、集中力を上げることで生産性も上げようという作戦です。慣れてくれば、コアタイムの時間を延ばしてもよいでしょう。

それもこれも「各自の手取りを増やすため」を理解してもらう

上記のような取り組みをスタートさせても、従業員の方にちゃんと本腰を入れてもらえなければ意味がありません。

ですから、何より大切なのは、「残業が減ったら必ず還元すること」を従業員へアピールすることです。そうでなければ、残業手当がなくなって手取りが減ってしまう取り組みに、どれだけの人が協力してくれるでしょうか。

取り組みが成功すれば、企業側は、残業が減った分、利益を確保できるわけですが、還元することを怠れば、従業員のモチベーションが続かず、長続きは期待できません。

業務の生産性を上がって利益を確保できたら、その分を従業員の方に還元することを約束する。これこそが、生産性を上げながら残業を減らす取り組みを継続させるための特効薬となるのです。

もし、どのように取り組めば分からないという場合は、社会保険労務士に相談されることをお勧めいたします。


社会保険労務士有資格者
山口 善広

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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