地方企業の約4割が人材不足を理由に働き方改革へ着手できず―「中小企業の働き方改革取り組み実態と新元号への期待に関する調査」

働き方改革は大企業の事例情報が多く目に留まるが、中小企業ではどれくらい進んでいるのだろうか?また、中小企業の経営者たちは改元という時代の節目をどう捉えているのか?AIを活用した人事評価クラウドで中小企業の働き方改革をサポートするあしたのチームは2019年2月、全国の従業員5〜300人未満の企業の経営者300人を対象に、「働き方改革取り組み実態と新元号への期待に関する調査」を実施した。
なお、経営者の内訳は、東京都・大阪府に本社を置く「都市部」の経営者150 人、東京・大阪以外の道府県に本社を置く「地方」の経営者150人となっている。

■『現在、あなたの会社では働き方改革に取り組んでいますか?』

「取り組んでいる」企業は、都市部で30.0%、地方で33.3%といずれも3割程度となり、
働き方改革の取り組み実態・意向において、地域差は見られなかった。

▼働き方改革に取り組んでいない理由

「取り組んでいない企業」にその理由を尋ねると、都市部では「売上・利益縮小への不安」が最多であったが、地方では「人材不足」が最多。地方に本社を置く企業の4割近くが、人材不足を理由に働き方改革へ着手できていないことが明らかとなった。

■現在取り組んでいる働き方改革の内容

なお、働き方改革に取り組んでいる企業は、「残業時間の削減」が最も多く、そのほかに「休暇取得の促進」や「労働時間の短縮」など、労働時間や休暇に関する意識改革が進んでいることがわかる。また、地方では都市部に比べて「働く環境・場所の改善、多様化」、「女性・若者や高齢者の就業促進」への回答割合が多くなっている。

■今後取り組みたい働き方改革の内容

現在まだ働き方改革に着手していないが、今後取り組みたい内容として最も回答が多かったのが「女性・若者や高齢者の就業促進」だった。次いで「働く場所の改善・多様化」もほぼ同じ割合で関心を高めている。中小企業にとって、働き方改革を推進するためには女性・若者・高齢者の労働力や、働く環境・場所の改善、多様化が重要なポイントになりそうだ。

■働き方改革関連法で関心があるもの

働き方改革関連法のうち、中小企業の経営者が関心を寄せるトップ2は、「有給休暇の取得義務化」と「時間外労働の上限規制」。これらは人的リソースが最低限もしくは不足している中小企業にとっては、遵守するための人材確保や勤務体制整備が差し迫っているため関心が高いのだと考えられる。

また3位に「労働時間の状況の把握の実効性確保」が挙がっているのは、客観的な記録手段の導入が進んでおらず、いまだ法遵守に不十分な環境であるからかも知れない。

■働き方改革関連法で経営に影響が出ると思うもの

今後の会社経営に影響が出るものとして、ここでも「有給休暇の取得義務化」と「時間外労働の上限規制」がトップに挙がった。続いて「同一労働・同一賃金」も関心が高く、これまで従業員の長時間労働や人件費の安い労働力に頼っていた中小企業にとって、今後採用費や人件費の増大が経営に影響を与えるのでは、と考える経営者が多いと考えられる。

次に、改元による影響・新元号への期待感についての調査を紹介する。

■「あなたの会社では、元号が変わることによって業務に影響が出ると思いますか?」

新元号については、ほとんどの経営者が業務への影響はないと考えていることがわかった。

▼「皇室が天皇の生前退位を決めたことで、ご自身の会社での事業承継についての考えに影響はありましたか?」

8割以上の中小企業経営者が、元号が変わっても業務への影響は出ないと思うと回答。また、天皇の生前退位は自社の事業継承に「全く影響はなかった」とする回答が約7割。しかし、「影響があった(1.0%)」、「少し影響があった(7.3%)」を合わせた1割弱の経営者は、自社の事業継承に影響があったと考えている点も見逃せない。
最後に新時代「令和」に期待することを聞いたところ、主に経済成長や景気回復に関するコメントが多く寄せられた。また日本全体の活性化や、若者をはじめすべての人が元気に、豊かに暮らせる社会の実現を願う声も多かった。以下、フリーコメントより抜粋して紹介する。

・消費税増税の余波とオリンピックの景気。(65歳男性/東京都)
・昭和期のような活気のある時代になるよう期待する。(62歳男性/兵庫県)
・零細・中小企業をもっとバックアップして欲しい。(64歳男性/東京都)
・株式のようなマネーゲームではなく、製造等の実質経済の底上げ。(60歳男性/北海道)
・若者がこの国を繁栄させようと思える時代になって欲しい。(63歳男性/神奈川県)

著者プロフィール

HRプロ編集部

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