3月12日、リクルートキャリアの就職みらい研究所が「就職白書2014」を発表した。同研究所が同白書を発表するのは3年目。今回の白書には2014年卒の採用・就職活動の総括と2015年卒の採用活動の展望がまとめられている。
 白書によると、OB・OG訪問をしたのは学生の28.2%(前期比+1.8ポイント)。大学のキャリアセンターは、学生にOB・OG訪問するように強く指導しているが、しない学生が圧倒的に多い。

 しかし、実際にOB・OG訪問をした学生は1人当たり、7.3人のOB・OGに会っている。昨年が3.7人だったので倍増していることになる。いくら指導しても、しない学生はしないが、する学生は積極的にOB・OG訪問をしている。OB・OG訪問の二極化が進んでいる。

 企業を選ぶときに最も重視した条件を学生に質問すると、就職活動を開始した時点では、「業種」「職種」「勤務地」の順番で高かった。しかし、12月時点では「勤務地」「職種」「業種」と入れ替わった。業種は開始時点から10ポイント以上下がった。
 一方で、開始時には「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が5.2%で第7位だったが、12月時点では12.6%と第4位となった。
 勤務地が重視されているが、多くの企業では転勤は珍しくない。また、現在は日本国内に拠点が1カ所しかない中小企業でも、取引先の動向によってはいきなり海外に進出しなければならないこともある。勤務地にこだわるのは無意味だ。学生は何を考えているのだろうか。

 また、一緒に働きたい人がいたとしても、その人が辞めてしまうことはあるだろう。一緒に働きたいと思う人が、本当にいい人なのかわからない。普通の社員ならば、自社の入社試験を受けようとする就活生に対して悪い態度を取らないだろう。しかし、いい人だと思った先輩と一緒に働いたら、実はひどい人だったということもありえる。
 企業の説明会に行くと、出席している社員はルックスがそこそこ良い人が多い。仕事に対しては前向きな発言をする。人事部推薦の社員が会社のイメージを高めるように行動しているわけだ。白書からは、企業のイメージ戦略が成功して、学生がそれに乗ってしまっている構図がよく見える。

 私は、就活の基本は「業界・企業・職種研究」だと思う。白書からは、企業が学生の業界・企業・職種研究が不十分だと判断していることがわかる。であるならば、就活生は業界・企業・職種研究に力を入れるべきだろう。「偏差値上位校でない」「英語が不得意だ」「留学経験がない」などと自分に自信を持てない就活生は多いが、そんなことを気にすることはない。「業界・企業・職種研究」で活路が開けるかもしれない。

 白書は外国人採用についても言及している。2014年卒の採用では外国人採用が減少傾向だったが、2015年卒採用では外国人採用意欲が高まっている。特に従業員5000人以上の大企業のうち58%は、日本の大学(院)卒の外国人留学生を採用する予定だ。また、41%の大企業は海外の大学(院)卒の外国人を採用する予定だ。一時期、外国人採用ブームに乗って外国人採用を進め、実際には外国人を活用できない企業が多かった。しかし、これからは地に足をつけた外国人採用が増えていきそうだ。


東洋経済HRオンライン編集長  田宮 寛之

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