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やっていることは同じにみえても、違法と合法に分かれるその違いは?

HRプロ編集部
2014/01/23

このコラムをお読みいただいているような勉強熱心な方には当たり前のことかもしれない。しかし、極めて重要なことであるので書かせていただきたいことがある。
 行っていることは同じにみえても、ある会社では合法で許されるのに、別の会社では違法になってしまうことがある。他社が行なっているからという理由だけで安易に真似をするのはやめた方が良い。

 例えば、遅刻をした場合の賃金の取扱いを例にしてみよう。数分の遅刻をした場合であっても30分の遅刻とする処理をしている会社はないだろうか。このコラムをお読みの方の会社の中にもあるのではないかと思う。

 「経営者が以前勤めていた会社でそのような取扱いを行っていた」など理由は様々だろうが、他の会社で行われていて問題が生じていないという理由だけで行っている会社は多いのではないかと思う。

 しかし、遅刻をした場合にカットして良い賃金は実際に働かなかった時間の賃金のみである。数分の遅刻にもかかわらず30分の賃金をカットするという処理は認められない。賃金の全額払いの原則に反して違法となる。

 では、30分の賃金を支払っていない会社はなぜ許されているのだろうか。

 おそらく、就業規則の減給の制裁という手続を経て30分の賃金を支払わないということになっているはずである。遅刻という懲戒の事由に対する制裁としての罰を与えているはずである。

 30分の賃金が支払われないという結果は同じであっても、その理由が違うのである。30分未満の遅刻は30分に切上げて賃金をカットするというのは賃金の全額払いの原則から違法である。一方、遅刻という懲戒の事由に対する制裁として、遅刻をした時間と30分の差額を減給するというのは、きちんとした手続を踏み条件を満たしていれば許される。

 従業員にとっても会社にとっても、30分の賃金が支払われないという結果は同じである。しかし、減給の制裁という手続を経ないと違法になり、法律上は全く異なるものになる。どちらでも結果が同じなのだから良いではないかとはならないのである。

 「わが社は数分の遅刻で30分の賃金を支払っていない」という話をどこかから聞いてきて、それをそのまま真似をすると場合によっては違法となりかねないのである。他の会社がやっているからといって、安易にそのまま真似をすることはやめた方が良い。遅刻をした場合の賃金の取扱いを例にとり説明をしたが、このようなことは他にもたくさんある。

 なお、労働基準法第91条に減給の制裁については条文があり、減給の制裁がどこまでできるのかについて規定している。「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」としている。

 減給の制裁を行うには就業規則への記載が必要になる。従業員数が10人になったので仕方なく就業規則を作成するというのではなく、積極的に作成していただきたい理由はこのようなところにもあるのである。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

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