1000台の『Pepper』が一般向けにも販売され1分で完売したそうである。人口知能の進歩は凄まじい。音声認識技術の進歩がさらに進み、リアルタイムでお客様との会話をデータ化し、最適な解決案を提案することと、この『Pepper』のコミュニケーション力が融合すれば、顧客対応するのは人間である必要がなくなってくるであろう。そうなってくると、これまで人間にしかできないと思われていた仕事を人口知能が担うようになってくる。
「マインドフルネス」が「怒り」と「IT」にもたらす効用

怒り日記で本音に気付く

「怒り」は2次感情である。その1段階前に何かしらの1次感情が存在する。
・「分からない」から「怒る」
・「ガッカリした」から「怒る」
・「要望を受け入れてほしい」から「怒る」
「分からない」や「ガッカリした」などの1次感情が生まれ、2次感情として「怒る」が生まれてくるのである。
この心理をプログラム化しているからこそPepperも怒りを含めて感情認識ができるのであろう。

「怒り」に対処するには、「怒りの強度」という「いつ・どこで・なぜ」の3点に絞込み日記をつける、【「怒り」の見える化】がお薦めである。見える化することで、相手と自分自身に求めすぎている、期待が大きすぎると気付けるからである。また、自分の本音にも気付くことができる。「怒り」に振り回され、流されるのではなく、主体的に使い倒し、お客様が期待していることは何かを考え抜き、全体最適で任せるべきところは進化するITへ任せる、と判断していくことが人間の仕事であろう。

「怒り」に流されない遊び心こそが情熱を生む

昨今の大手ITグローバル企業では「瞑想」を育成に活かしているそうである。「瞑想」は昔からある精神鍛錬のひとつであるが、なぜ、「瞑想」が研修に組み込まれるのだろうか。
ひとつは、一方的な詰込み型研修やOJTでは、丸暗記をするだけか、何も考えず突っ走るか両極端になる。そのリスクを避けるためである。安パイな社員かミス頻発社員のどちらかになり、低体温(情熱に乏しい)社員、「怒り」に流される社員を増やさないためである。
もう一つは、「瞑想」を「マインドフルネス」という言葉に置きかえる「遊び」の要素を取り入れるなど、その会社や部署だけでしか理解できないウィットを盛り込むことで、機転が利く高体温(情熱のある)社員を育めるからである。

さて、「マインドフルネス」というと、最先端の科学的トレーニング手法のような響きがするが、行うことは「瞑想」である。しかし、印象が大きく変わる。マインドフルネスは、雑念をなるべく減らして、事実だけをきちんと捉えていくためのもので、つまるところ、
今ここで起きていることをちゃんと感じ取るようにする練習なのだ。

もちろん、事はそれほど単純ではない。
たとえば、決まったことを決まった通りに遂行することは本当に重要である。しかし、職種に関係なく、決まった通りに遂行しなければならない仕事ほど、ミスが発生し、イレギュラーな案件へ発展しやすいことも事実である。そんな時こそ、怒りに流されず、機転の利く機敏な判断が求められるわけである。そのためには、業務の周知方法や仕事のあり方・やり方に、適度な遊びやウィットが含まれているかどうか、マインドフルネス(静かな集中により迷いがなくなった状態)で確認することが求められるのではないだろうか。なぜなら、それが、私たち人間にしかできないことなのかもしれないからである。

10年後、人工知能とどのように棲み分けしていくのか、それとも、仕事を取って替わられているのか。人口知能やマシンからダメ出しやフィードバック、アドバイスを受けているのかもしれない。
しかし、お客様へ提供する「満足の質」を考えること、アイディアを出すことまで機械へ丸投げし、機械へ依存してしまうことは避けるべきである。自動車の衝突防止装置に慣れてしまい、安全意識が欠如してしまったら大変であろう。同様に、IT化が進んでも、人がやるべきこと、できることがあるからだ。

アーネスト・ハート
社会保険労務士 竹内 元宏

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