アーバン・イノベーション・ジャパン(以下、UIJ)は2021年8月5日、岐阜県大垣市が取り組む協働実証実験「Urban Innovation OGAKI(アーバン・イノベーション大垣)」に参加するスタートアップ企業の応募受付を開始した。UIJと大垣市が、協同で実証実験および「防災」という課題に特化した取り組みを実施するのは、今回が初めてとなる。多くの自治体で課題となる「防災」に焦点を当て、デジタル技術の観点から取り組みを実施することで、DXを防災に活かすロールモデルとしたい考えだ。
「DX」×「防災」をテーマに、UIJと大垣市が地域課題を解決へ。実証実験に参加するスタートアップを募る

近年注目が集まる「防災」を焦点に、スタートアップのアイデアとデジタル技術を活用

UIJは、「全国の自治体が抱える課題」と「民間企業・スタートアップ」をマッチングする、オープンイノベーション・プラットフォームだ。「地域・社会・行政課題」に明るい自治体職員と、柔軟な発想と優れた技術力を持つ企業との協業により、最適な解決策やサービスの検証を実施することを通じ、課題解決とビジネスの双方の成長を目指している。同プラットフォームは2018年以降、スタートアップ企業との協働実験を通じ、自治体が抱える社会課題を解決するプロジェクトにおいて、全国14の自治体と取り組んできた実績を持つ。

一方の大垣市は明治以降、豊富な地下水を活用した「紡績」や「情報産業」などで栄えてきたが、多くの河川が網目状に流れる水郷地帯であることから、水害が多発するという課題を抱えていた。そこで両者は、「水害」という地域課題の解決に向け、協働を決定。人命および地域の文化や誇りを守りつつ、安全な市民生活を実現させるべく、デジタル技術を活用した防災施策の課題解決に取り組んでいくという。

今回の実証実験では、テーマを「防災」に絞り、4つの課題に取り組む。UIJにとって、実験課題を特定分野に限定するのは初の試みだという。また、自然災害という社会共通の課題について、従来の枠組みを超えて実施する新たな挑戦となる。

「アーバン・イノベーション大垣」で取り組む課題は以下の4つだ。

(1)みんなの避難所~避難所受付支援システムの開発~
(2)自宅de防災訓練~ウィズコロナ時代のデジタル防災訓練~
(3)災害時における新たな支援の創出
  ~防災×シェアリングエコノミーの活用による課題解決策~
(4)防災施策のデジタル化に関する自由提案


このうち(4)については、スタートアップ側からの自由な発想・提案を受け付けていくという。

現在、実証実験への参加を希望するスタートアップ企業を募集しており、応募締め切りは同年8月29日となる。書類審査・面接等を経て、10月上旬を目処に参加企業を決定する予定だ。

なお、上記の4課題と同様の課題を抱える自治体は、全国に点在すると考えられることから、UIJでは本実証実験をはじめとするイノベーション事業を共有する場として、神戸市が主催する「GovTechサミット」とも連動させた「Urban Innovation Summit(仮)」を企画。一地域の課題解決プロジェクトにとどまることなく、全国の自治体に向けても発信を行っていく予定だ。

近年多発する「自然災害」を課題視しつつも、アイデアや技術、人材不足から、解決に向けた行動が起こせない自治体は多いだろう。こうした状況を打開するための「自治体と企業とのコラボレーション」は、今後もさらに活発化していくかもしれない。

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