アクサ生命保険株式会社は2021年3月9日、「職場の健康づくりに関する意識調査2021」の結果を発表した。調査期間は2021年1月29日~2月2日で、全国の中小企業の経営者または役員の合計1,000名から回答を得た。これにより、中小企業の「健康経営の取り組み実態」や「健康経営実践企業が実感する効果」などが明らかとなった。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

半数以上が「身体面の健康不安を持つ従業員はいる」と答える

長期化するコロナ禍により、従業員の心身の健康状態への影響が危惧されている。企業にはどのような対策が求められるのだろうか。

まず、「身体の健康に問題を抱える従業員(肥満や血圧が高いなど)がいるか」を尋ねると、「いない」と答えた人が38.7%で、「わからない」が8.8%だった。「いる」と答えた人は全体の52.5%で、そのうち、人数の割合が「1割以下」が20.4%、「2割~4割」が20.3%、「5割~7割」が6.8%、「8割以上」が5%だった。また、「5割以上」と回答した合計は11.8%で、10社に1社の割合だった。

一方で、「心の健康に問題を抱えている従業員(ストレス過多など)」は、29%が「いる」と回答し、そのうち「5割以上」と回答した合計は全体の2.2%にとどまった。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

67.6%の経営層がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響はある」と回答

続いて、「新型コロナの感染拡大による、経営への影響」を尋ねた。全体結果は、「非常に悪い影響が出ている」が24%、「やや悪い影響が出ている」が43.6%と、合計すると67.6%の企業で悪影響が出ていると判明した。一方で、「非常に良い影響が出ている」は0.7%、「やや良い影響が出ている」は3.3%となり、良い影響が出ているという企業はわずか4%だった。

また、業種別に見た場合、「悪い影響が出ている」とした合計が最も多かったのは「小売業」で82.6%にも及んだ。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

6割以上は「健康経営」を認知するも、現時点で取り組む企業は2割強

また、「会社の健康経営への取り組み」について尋ねると、「現在、取り組んでいる」は20.8%、「以前、取り組んでいた」が2.5%となり、取り組んだ経験のある企業は2割強だった。また、「取り組んでいないが、内容まで知っている」(16.5%)と、「取り組んでいないが、聞いたことがある」(26.3%)を合わせると、「健康経営」という取り組みを認知する企業は6割以上だった。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

半数以上が健康経営の取り組みに意欲あり

現時点で健康経営に取り組んでいないという経営者・役員(792名)に、「今後の取り組みの意向」を聞いたところ、「取り組む予定がある」は3.7%、「取り組む予定はないが、取り組みたいと思う」が54.5%で、意向ありとしたのは合計58.2%だった。現時点で取り組んでいなくても、半数以上は健康経営の重要性を認識し、意欲的な意向を示していることが明らかになった。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

健康経営の実践に向けた課題は「具体的な効果のイメージ」か

健康経営を認知しているが、取り組んだことがないという経営者(428名)に、「その理由」を尋ねると、「効果がわかりにくい」が37.4%で最多だった。取り組むことでの効果を具体的にイメージできないことが、最大の課題なようだ。以下、「何から取り組めばいいのかわからない」(32.9%)、「従業員の負担が増える」(21.3%)などが続いた。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は

実践する企業が実感した、さまざまな「波及効果」とは

そこで、健康経営を実践したことがあるという回答者(233名)に「取り組んだことによる社内の変化」を聞いた。最も多かったのは「従業員の健康増進・生活習慣の改善」で、64.4%が回答。以下、「従業員のモチベーション向上」が46.8%、「従業員の生産性の向上」が30.9%と続いた。また、「従業員同士のコミュニケーション活性化」(27.5%)、「人材の定着」(26.6%)など組織改善のメリットを実感する声も多く、多方面に好影響を及ぼす可能性があることがうかがえた。
6割がコロナ禍で「経営や労働環境、従業員の健康に悪影響がある」と回答。中小企業の「健康経営」への取り組み実態は
健康経営優良法人(中小規模法人部門)の上位500社に対して認定される「ブライト500」が、2021年から新設された。それにより、「健康経営」に取り組む中小企業が増え、認知も広がっているようだ。このコロナ禍で「従業員の健康を守る重要性」が再確認されている。「健康経営」に取り組んでいる企業が実感する変化や効果など参考に、自社での取り組みを検討してみてはいかがだろうか。

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