税理士向けITサービスを展開するMikatus(ミカタス)株式会社は2021年1月28日、「税理士業界の景況感に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2020年12月3日~17日で、全国の税理士149名から回答を得た。これにより、税理士の目線で見た「中小企業の新型コロナ影響」が明らかとなった。
税理士が感じているコロナ禍の景況感とは。9割以上が「中小企業の助成金相談が増えた」と回答

7割弱が「顧問先の売上は減少」と答える、「資金繰りの悪化」は6割が実感

税理士は、顧問先中小企業の「2020年の新型コロナ影響」をどう感じたのだろうか。

はじめに、「顧問先である中小企業における2020年の売上と資金繰りの状況」を尋ねた。すると、「売上の変化」は、「減少に転じた」が56%で最も多く、「連続減収」の9%と合わせると65%に及んだ。また、「資金繰り」についても、「やや悪くなった」が47%、「悪くなった」が14%で、合わせて61%となり、多くが「2020年は中小企業の業況が悪化した年」だと感じているとわかった。
税理士が感じているコロナ禍の景況感とは。9割以上が「中小企業の助成金相談が増えた」と回答

コロナ禍の影響で、年間の税理士相談は増加傾向に

次に、「2020年を通して、顧問先からの各種相談は昨年と比べて変化したか」を尋ねた。その結果、「補助金や助成金の申請相談」については、「増えた」が67%、「やや増えた」が27%と、合計94%が増加と回答した。「資金繰りの相談件数」は、「増えた」が35%、「やや増えた」が40%と、合計75%が増加を実感。また、「事業継続や事業方針の相談件数」は「増えた」が14%、「やや増えた」が36%で合計50%となった。

いずれの相談も増加していることから、「コロナ禍で財務や経営において不安を抱えている中小企業」が多いことが推測できる。
税理士が感じているコロナ禍の景況感とは。9割以上が「中小企業の助成金相談が増えた」と回答

減収した事務所は2割弱にとどまるものの、1年後は税理士も悪化すると予想

また、「2020年の(自身が属する)会計事務所の売上」について尋ねると、「連続増収」が34%と、3分の1を占めて最多だった。一方「減少に転じた」は13%、「連続減収」は2%と、「減収した」と回答した税理士は15%にとどまった。

最後に、「1年後の税理士業界の業況をどう見るか」を尋ねると、「良くなる」が7%、「やや良くなる」が7%と、今後の好転を見込む税理士はわずか14%にとどまっている。一方、「悪くなる」が11%、「やや悪くなる」が40%で、合計51%となり、半数の税理士は「業況が悪化する」と感じていることが明らかとなった。その要因として「景気の悪化」をあげた声が最多で、次に「顧問先数(中小事業者数)の減少」が続いた。
税理士が感じているコロナ禍の景況感とは。9割以上が「中小企業の助成金相談が増えた」と回答
調査結果からは、2020年に新型コロナウイルスがもたらした中小企業への影響は深刻であったことが窺える。2021年も緊急事態宣言の再発令や延長からスタートし、財務や経営に悩む企業の状況は続いている。専門家のアドバイスを仰ぎながら、政府や自治体が公表する「中小企業向けの補助金や支援」などを検討し、有効的に活用していきたい。

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