ポストコロナにおける採用動向は。人手不足感が急激低下し、「人手過剰」とする割合が増加傾向に

帝国データバンクは2020年5月、「企業の人手不足感に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2020年4月16〜30日で、全国の1万1,961社から回答を得たもの。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、企業が感じる人手不足状況の急激な変化や業種ごとの動向が明らかとなった。

新型コロナウイルス感染症拡大による国内景気の急速悪化が原因か

新型コロナウイルス感染症拡大により、事業活動の縮小や自粛を余儀なくされた業界や企業が多いなか、企業の人手不足感はどのように変化したのだろうか。最初に、4月時点での「従業員の過不足」を正社員、非正社員と分けて聞いた。その結果、正社員では、従業員が「不足」との回答が31%となり、前年の50.3%より約20%弱下回った。非正社員でも同様の傾向がみられ、「不足」16.6%と、前年の31.8%から約15%下落している。

一方で「人手が過剰」との回答は、正社員では21.9%と、前年から13.5%の増加、非正社員では21.6%と、前年の6.8%から14.8%も増加している。近年続いていた企業の人手不足感が、緩和しているともみられる結果だ。

業種別では「電気・通信」「農・林・水産」などで人手不足感が上昇

次に、「従業員が不足」している割合を企業規模別にみると、正社員・非正規雇用者ともに大企業でもっとも高く、正社員で38.7%、非正社員で19.6%という結果になった。

業種別だと、正社員では「農・林・水産」と「建設」がともに48.2%と最多、「メンテナンス・警備・検査」で46.5%、「電気通信」で45.5%、「情報サービス」が44.6%と続いた。上位10業種中、9業種が前年よりも不足割合が低下するなか、在宅勤務による需要が増加した「電気通信」は、前年を10%以上も上回った。

また、非正社員の不足割合は、前年よりも増加した業種が正社員に比べて多いことも判明した。「電気通信」44.4%、「農・林・水産」38.5%、「医療品・日用雑貨品小売」29.2%と、この3業種は、前年の不足割合を上回っている。新型コロナウイルス感染症拡大による一時的な需要の伸びが関係していると予想される。

最も人手過剰な業界は「旅館・ホテル」「飲食店」「娯楽サービス」など対人サービス関連

「人手過剰」とした企業を業種別に分類すると、最も人手過剰となった業界は「旅館・ホテル」62.5%、次いで「飲食店」48.2%、「娯楽サービス」43.9%など、対人サービス業が上位を占めた結果に。この傾向は非正社員も同様で、最も過剰率が大きいのは「旅館・ホテル」69%、次いで「飲食店」56.4%となっている。また「輸送用機械・器具製造」は、正社員・非正社員ともに上位にランクインしている。
新型コロナウイルス感染症拡大により、企業の人手不足感には大きな変化が起きていることがわかった。人手不足が解消傾向にあると見ることもできるが、これは一時的なものであり、生産性向上による根本的な人手不足の解消とは異なるものといえるだろう。今後、業務量の回復過程においては、再び人手不足の割合が増加することも考えられる。企業には、今後も「ポストコロナ」における採用動向を注視することが求められそうだ。

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HRプロ編集部

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