厚生労働省は、2018年10月に実施した「若年者雇用実態調査」の結果をまとめ、発表した。調査対象は、5人以上の常用労働者を雇用する企業約17,000カ所と、その企業に勤務する15~34歳の若年労働者約30,000人。企業側と労働者側の双方を対象に調査を行ったことによって、雇用状況や就業に関する意識など、若年者雇用に関する諸問題が明らかになった。
厚生労働省が「若年者雇用実態調査」の結果を発表

若年労働者定着へ対策が急務という意識が高まる一方、実現しない現実も

多くの日本企業では、若年労働者の減少が深刻化している。調査結果によると、全労働者に対する若年労働者の割合は27.3%と、2013年におこなった前回調査の結果と比較すると1.4%減少した。また、若年労働者の内訳は、正社員が17.2%、正社員以外が10.2%となっている。

このような状況を受け、若年労働者の定着のための対策を行っているかを事業所に尋ねた。すると、「正社員向けの対策を実施している」と答えたのが72%、「正社員以外に向けた対策を実施している」は57.1%という結果だった。正社員であるか否かに関わらず、若年労働者が定着するよう施策をおこなった企業は、前回調査と比べて増加している。若年労働者の定着をはかる企業側の意識は高まっていることが分かる。

続いて、正社員採用をする予定があった事業所には、対象者の過去の職歴や雇用形態が採用時に影響するかどうかを聞いた。「フリーターが正社員の求人に応募してきた」場合、15~34歳の労働者あれば68.1%、35~44歳の労働者であれば54.9%の企業が「評価にほとんど影響しない」と答えている(ここでの「フリーター」とは、「パート・アルバイト雇用者」という意味ではなく、15~44歳の人で、家業・通学・家事のいずれも行っていない、もしくは1年以内に就職経験があるが勤務先での呼称がパート・アルバイトだった人を意味する)。若年労働者の場合、過去の職歴や雇用形態はさほど重視されない傾向にあるようだ。

約半数の若年労働者は、退職・転職の経験がある

若年労働者へ「初めて勤務した企業で現在も働いているか」を質問したところ、「勤務している」が50.9%、「勤務していない」が47.4%で割合に大きな隔たりはなく、つまり、若年労働者の約半数が退職または転職を経験しているということがわかった。また、離職理由についても尋ねると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 30.3%、次いで「人間関係がよくなかった」が26.9%となった。さらに、「定年前に転職したいと思っている」若年労働者は30.3%で、前回調査よりも3.4%増加。職場の人間関係のほか、労働条件や賃金離職など、よりよい条件を求めた転職が理由で離職する場合もあるようだ。

労働力人口の減少が社会問題となっている中、若年労働者の採用と定着、離職防止策に悩む人事担当者は多いだろう。若年労働者が求める職場環境や、仕事への価値観、ワークライフバランスなどを理解し、定着、育成させるための積極的な施策が求められるだろう。

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