研修後に業務を通じて行動を改善していくシステム

研修後に業務を通じて行動を改善していくシステム

研修で得たものの継続実行をサポートする

ネットマンが提供する「Action T.C.」は研修後、職場に配属・復帰した受講者が、研修の成果を活かしながら業務を通じて行動を改善していくシステムだ。近年、「研修で学んだことを職場に戻ると忘れてしまう」「モチベーションが維持できない」「具体的な効果が見えない」など、研修の効果を疑問視する声が企業の中からよく聞かれるが、「Action T.C.」はこうした「やりっぱなし研修」の問題を解決するシステムとして注目されている。このシステムは研修後の業務の中で目標の確認や行動の振り返り、自己分析、相互フィードバックを継続的にサポートすることで、受講者たち自らが考え、気づき、学びながら、研修の成果を習慣化し、行動を改善していくことができるというものだ。

「Action T.C.」の発売は2006年。2014年までの導入企業は60社を超え、大手上場企業の多くが、新人研修後の行動習慣化、管理職研修後の組織活性化など様々な目的で導入し延べ15000人が利用している。

「研修の本番は研修後の実務である」という発想の転換

3つのベネフィット

この「Action T.C.」がこれほど普及した背景には、「実施している研修は本当に効果的なのか? 効果的でないとしたらどこを改善したらいいのか知りたい」という企業の問題意識がある。研修効果を測るため、何カ月後かにアンケート調査を実施するケースもあるが、そこで得られるのは正しい行動データではない。受講者は日々の業務に追われるうちに、研修で学んだことや、そこで立てた行動目標を忘れてしまいがちだ。職場の実態は研修で思い描いた理想とあまりにも乖離していて、忙しい業務や厳しい事業環境の中で、目先の案件処理に追われることになるからだ。

こうした問題の解決策として生まれたのが「Action T.C.」であり、その基盤となっている研修後の行動改善という考え方だ。そこには、研修の中心を集合研修から職場でのOJTにシフトするという発想の転換がある。つまり集合研修は研修の前段部分にすぎず、本番は職場での実務であり、そこで研修は「Action T.C.」というITを活用して継続され、行動が改善され、業務の中に定着していく。研修で学んだことが業務に活かされ、自らを変えていけるから、受講者もやる気になる。人事・研修部門はその行動改善を、当人の考えや心の変化まで含めて克明にフォローし、データとして蓄積することができる。職場の上司も部下が研修の成果を活かして成長することで大きな利益を得る。受講者当人にも研修企画担当者にも、職場・会社にも利益をもたらすところに、このシステムの新しさがあり、導入する企業にとっての付加価値があるのだ。

職場の業務を通じて行動改善を持続していくための様々な仕掛け

”F”を入れるとPDCAが回り出す

「Action T.C.」を使った職場での行動改善は、PDCFA(Plan-Do-Check- Feedback -Action)というサイクルを繰り返すことによって実現されていく。システムによって毎週自動的にメールが届き、受講者は設定した目標とそれを達成するための具体的な行動を振り返り、成果や足りない点などを深く考え、記述する。この内容は管理者・研修企画担当者だけでなく、設定に応じて職場の上司や、研修でグループワークを行った仲間などに共有される。その仲間たちからは問いかけやアドバイスなどがフィードバックされてくる。このフィードバックによって、受講者たちは互いに教え合い、学び合うことができ、効果的な気づきと行動改善が可能になる。つまりPDCAにフィードバックのFが加わることによって、現場の業務においても研修の学び・学び合いが継続するところに、「Action T.C.」最大の特長があるのだ。

ちなみに「Action T.C.」の「T.C.」は、研修やその後に設定した目標や行動を忘れないようにリマインドするTime Capsule、仲間と励まし合い、教え学び合うTeam Communicationという、このシステムの2つの大きな特徴を表す言葉の略である。

ITと教育理論の融合から生まれたシステム

行動改善をサポートしていく「Action T.C.」の仕組みは、このシステムの発売に先立ち、2005年に「行動改善システム」として国際特許出願され、2007年に日本で特許を取得。2012年に米国でも特許を取得している。国際的に高い評価を受けているこのシステムの特色は、教育学や企業研修の最前線との深い結びつきから生まれている。

「行動改善システム」の発明者であるネットマンの永谷社長は、2001年に大学の学生と教師を結ぶASPサービスC-Learningを発売。このサービスを使う教授たちと関わることで、様々な教育理論・手法を吸収することができた。特に学生同士が主体的に学び合う自律協調学習の推進者である西之園晴夫京都教育大名誉教授や「学び」を解き明かす認知心理学者の佐伯胖東京大学名誉教授から大きな影響を受けた。また教育効果測定の第一人者である堤宇一氏と設立した、企業の研修担当者の勉強会「NPO法人・人材育成マネジメント研究会」を通じて研修効果の測定、教育設計などを学んだ。つまり「Action T.C.」は教育理論や人材育成手法の最高峰・最前線と深く関わりながら生み出されたシステムなのだ。

PDCFAによる行動改善が企業の人材育成を大きく変えつつある

PDCFA行動改善プログラムは現在、大手上場企業の多くに採用され、研修後の行動習慣化システムのデファクトスタンダードになった感がある。日立や三菱東京UFJ銀行で採用されるなど、人材育成を積極的に推進する多くの企業における最重要分野での実績も生まれている。導入した企業からは、「行動習慣化・行動改善が達成され、企業のチーム力が向上した」「業績アップに繋がった」という声が聞かれる。さらにPDCFAインストラクター養成講座を通じて、自らPDCFAプログラムを指導できる講師も様々な企業に誕生しており、その数は現在140人を数えるという。「Action T.C.」とPDCFAサイクルによる行動改善は、これから企業の人材育成を大きく変えていくかもしれない。