ギャップを解消するには、どういう打ち手が日本企業に必要か?

櫛笥氏:日本人のマネジメントが効くような現地体制づくりを念頭に置くべき。リテンションをかけたトップがパフォーマンスを上げなかった場合、現地人の第2レイヤーから日本本社のグリップが効きやすい人材を抜擢する外部サーチを行う。また、日本人が乗り込むことを前提にするのであれば、国内でのグローバル人材育成も重要。その時、カルチャーインテリジェンスの高い人材を計画的に育てることが大切。

堀之内氏:まず、対象国・地域別に行うべきベネフィットを整理する。国や地域でどういったベネフィットが必要なのか、人事的な側面で考えると同時に、財務的な側面も考慮しながら、国・地域別のベネフィット方針を確定する。その後、グローバルでベネフィットの全体方針を全社最適で取りまとめる。ここまでのプロセスを、M&Aのディールが成立した後、速やかに行うことが大事。

村上氏:コミュニケーションとタレントマネジメント分野で大事なのはファクト・ファインディング。デューディリジェンスが終わったタイミングで調査を実施し、まず、お互いの文化差を把握することが効果的。人材アセスメントや360度調査などリーダーシップのスタイルを把握するのもよいだろう。

片桐氏:村上氏と一緒にアジアで行ったケースだが、PMIで社員の意識調査を国ごと拠点ごとに行い、組織と人についての現状と課題を比較した。この結果を各拠点のリーダーに示して「解決するにはどうしたらいいか」をテーマに、日本の人事部がファシリテーターとなってワークショップを行いながら、健全な競争心を創り出すことに成功した。人事部の国際化はM&A戦略の実施に不可欠である。人事部が国際化を目指すなかで、多くの人とグローバルな人事のあり方を考え、共有する機会が生まれるだろう。日本人は真面目なので、グローバル人事も勉強してきちんと応用できるだろう。10年後には、日本の人事のグローバルレベルも、相当高くなると期待している。

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