京大アメフト部の平常心

ここで思い出すのは京大のアメフト部を国立大初の優勝に導き、京大黄金時代を築いた水野弥一監督です。わたしは優勝した頃にお目にかかってお話をうかがったことがあります。水野監督は次のような趣旨を話されました。「京大アメフト部の選手は、これ以上できないほどの練習をした。だから、やれることはすべてやった、練習通りのことをすればいい、と平常心で試合に臨むことができた」。
 平常心とは揺れ動かず、冷静な心の状態を意味します。アメフト部は厳しい練習によって肉体を鍛えるだけでなく、平常心も獲得したのです。

リーダー・経営層に必要な読書の習慣

基調講演「21世紀の企業経営と人材戦略」
人間を知るために、18世紀のアダム・スミスの「道徳感情論」も読んでもらいたいと思います。アダム・スミスは「国富論」が有名ですが、「道徳感情論」は人間がいかなる存在かについて考察しています。文庫本で出版されているのでお読みください。
 アレクシス・カレルの「人間、この未知なるもの(MAN, THE UNKNOWN)」も推薦したい本です。アレクシス・カレルはノーベル生理学・医学賞を受賞した100年前のフランス人医師です。「人間、この未知なるもの」は優生学的な主張を含んでおり、やや問題のある本とも言えますが、人間を理解する上できわめて示唆に富んだ記述があります。
 いまグローバル人材についての議論が盛んですが、グローバルの根幹にあるのは「人の立場に立って考える能力」です。それは一言でいえば教養であり、教養は文化的知識と品位(ディグニティ)によって成立しています。
 教養はグローバル人材だけでなく、リーダーや経営層にも必要です。そういう人材にぜひ読書の習慣を身につけてもらいたいと思います。

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