アリストテレスとアレクサンダー大王から学ぶ人間の本質

そこで重要な役割を担っているのが、人事のみなさんです。しかしみなさんは人間とはどんなものなのかご存知でしょうか。人を知らずして、人を動かし、人を活用することはできません。
 人を知るために役に立つのがモンテーニュの「エセー」です。わたしが若い頃には「随想録」という書名で訳されていました。
 モンテーニュは16世紀の思想家で、「エセー」にはギリシア・ローマ時代の偉人、賢人が取り上げられています。そのなかにアリストテレスとアレクサンドロスの話があります。
 アリストテレスは言うまでもなく古代ギリシア最大の哲学者、アレクサンドロスは即位後に大遠征を行い、ギリシア、エジプト、ペルシア、中央アジア、インドまで版図を広げて大帝国を築き、後にアレクサンダー大王と呼ばれた英雄です。
 アレクサンドロスの父フィリッポス王はアリストテレスに家庭教師を依頼したのですが、その時のアリストテレスの教育からわたしたちは多くを学ぶことができます。
 かれはアレクサンドロスに文章や本から得られる知識だけを教えようとはしなかったのです。そういう知識は少し努力すればだれでも得ることができます。しかし容易に得られないものがあります。得られないのは、人間がどういう動物かと言うことです。それをアリストテレスは若きアレクサンドロスに教えようと苦心したのです。
 アリストテレスが教えたかったことをわたしなりに解釈してみましょう。人間は動物であり、獣性を持っています。獣性とは本能です。お腹が空けば、飢えた妻や娘をさしおいてまず自分が先に食べたい。そういう欲望を人間は持っています。
 しかし人間は獣性だけの存在ではありません。自己中心の本能を制御することができます。当時は戦争の多い時代でした。アリストテレスは兵士に対するやさしさ、危険を顧みない大胆さ、撤退する決断力を教えたいと考えたのです。
 獣性を持つ人間が自らの矛盾をアウフヘーベン(止揚、統一)することで人間の品性が生まれます。その品性をアレクサンドロスに伝えたかったのだと思います。

日常の家族との過ごし方で染められる白いキャンバス

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