ベネッセ社内有志組織「One Benesse」が企画(主催:Edcamp TAMA実行委員会、後援:多摩市、関東地方ESD活動支援センター)する、「Edcamp TAMA#01(※)」が2020年8月8日(土)にオンライン上で開催された。これまでHRプロでは同組織の様々な取り組みを紹介してきた。今回のオンラインイベントには社会人のほか、地域住民や学生、教員など多様な参加者が集まった。本イベントは、多摩市を拠点に新たな教育の場づくりを構想するためのキックオフという形で開催された。本記事では、「リカレント教育」の場につなげるイベントの概要を紹介する。
Edcamp TAMA#01とは
リカレント教育につなげる「Edcamp TAMA#01」を、ベネッセ社内有志組織「One Benesse」が企画

「Edcamp」とは?

そもそも「Edcamp」とは、自分たちで当日のセッション内容を決めていく参加者主導の教育関係者による会議を意味する。セッションはテーマを決めた参加者がファシリテーターとなって行われ、セッションの途中でも他の参加者は自由に他のセッションに移動できるのがEdcampの特徴だ。元々2010年にアメリカのフィラデルフィアでスタートし、日本では2016年からEdcamp(※)の取り組みが広がっているという。
Edcampとは

今回のオンラインイベント「Edcamp TAMA#01」は、ベネッセ社内有志組織「One Benesse」が企画し、2020年8月8日(土)に開催された。同組織は、ベネッセの企業理念である「Benesse=よく生きる」の実現を目指し社内の有志メンバーで発足され、社内外で様々な取り組みを行っている。

同イベントはEdcamp TAMA実行委員会が主催、多摩市や関東地方ESD活動支援センターが後援し、多摩市の住民や中高生、近隣地域にある学校の先生、多摩美術大学の講師・学生など、10代から60代まで多くの参加者が集まった。

冒頭、実行委員会を代表して「One Benesse」の佐藤 徳紀氏は、「新型コロナウイルスの影響によって、文化祭など体験を伴う学びの場の開催を断念せざるを得なくなったという話を聞きました。そこで私たちは地域・学校の教育に何かできないかを考え、今回キックオフという形で学びの場づくりのイベントをオンラインで開催しました」と企画意図について話した。

オンラインイベント「Edcamp TAMA#01」は、3回に分けてセッションを行うプログラムとなっている。それぞれ「SDGs」、「教育」、「文化祭」を大枠のテーマが設定されており、そこから参加者各自でセッション内容を決め、複数の部屋に分かれて約30分間の対話をする流れになる。

セッションに入る前、実行委員会の一人である桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師松井 晋作氏より「話の中身は真剣で、雰囲気は自由なのが対話の特徴です。勝ち負けを決めるのではなく、前提となっている選択肢の可能性をもう一度探るであったり、評価の基準そのものを再吟味したりするといった方向に話を進めていきましょう」と対話のポイントについて言及した。

多様な世代が集まることで得られる、自分にはない発想や気づき

リカレント教育につなげる「Edcamp TAMA#01」を、ベネッセ社内有志組織「One Benesse」が企画
セッション内容を決める場面では「アフターコロナの教育」や「生徒・学生の学びから学ぶ社会人」など教育×新型コロナ、教育×キャリアといった組み合わせのテーマが参加者から多く集まっていた。どの世代も、新型コロナやキャリアに関連する教育への関心が窺える。

実際のセッションでは、学生と主婦、社会人といったような多様な組み合わせが見られ、今後の教育のあり方や未来の文化祭について、和やかな雰囲気のなかにも白熱する議論が交わされていた。

イベントの合間には「多様な世代が集まることで、自分にはない発想、気づきがあった」という声が参加者から挙がった。参加した社会人からは、「様々な世代が集まって一緒に考えていくというところに学びがあった」という感想もあり、働きながら学び続けるリカレント教育の価値を再認識できるイベントとなった。
リカレント教育につなげる「Edcamp TAMA#01」を、ベネッセ社内有志組織「One Benesse」が企画
佐藤氏はイベントの最後に、「今回の取り組みを実施するにあたり、ベースとなるコンセプトとして、『TAMAキャンパス構想(仮)』を企画メンバーとともに考えました。ベネッセという一企業だけではなく、みなさんにとってもゆかりのある多摩を拠点にして、多世代が交わって学び続ける人を生み出す、新たな場づくりをしていきたいという考えです。キーワードは、“Blushup-Learning”。学校だけでなく社会にも学びがあり、時代とともに学ぶ内容や学び方も変化します。その変化のなかで、世代に関係なく誰もが双方向に教え、学び合う……そんな連携を繰り返しながら学びの概念を変えていきたいと考えています」と話し、Edcampを締めくくった。

生涯にわたって、教育と就労のサイクルを繰り返す「リカレント教育」。人生100年時代と呼ばれる現在、この「学び直し教育」、「社内人の学び直し」といった教育制度が注目を集めている。「AI」や「IoT」などの技術革新の加速、ジョブ型雇用の台頭、人生100年時代の到来など、変化の激しい今、自身のキャリアアップに向けた自主的な学びが重要視されてきている。今回のような企業と教育機関、地域が連携する「One Benesse」の取り組みは、企業がリカレント教育を導入するうえでの一つの好事例になるのではないだろうか。
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