文部科学省も後押ししている「キャリア教育」について解説します。
キャリア教育

キャリア教育とは何か?

「キャリア教育」とは、若者が社会的・職業的自立のために必要な能力や態度を育成し、キャリア発達を促す教育のことです。具体的には個人が自分らしく生きるために、学習・就労の意欲を高め、自らのキャリアを実現していけるように定められた教育方針です。

また、キャリア教育と類似したもので、職業教育が挙げられます。職業教育は特定の職業に就くことを目標として、専門的な能力を培うことを指します。一方で、キャリア教育は、自分らしく生きることを目的として、能力や態度を高めるものであるため、それぞれの概念は異なります。

キャリア教育誕生の背景

キャリア教育が急速に発達した背景には、近年の社会の情報化・グローバル化が大きな要因として挙げられます。社会の変革に伴う、産業の変化や雇用の多様化によって、子供たちにとって目指したい大人のロールモデルが不透明になったと言われています。

また、テレビやインターネットが普及した時代に育った子供たちは、流行りや情報に敏感な反面、実体験や生活体験が乏しい傾向があります。未知に挑戦する実体験は、子供たちが将来的に直面するさまざまな課題に対応し、自立するうえで役立ちます。それらを補うために、近年取り入れられているのがキャリア教育です。

キャリア教育プログラムと期待される能力・態度

キャリア教育は小学校、中学校、高校で実施される教育です。教育機関で行われるキャリア教育の領域と進路に関わる能力は以下の通りです。

●人間関係形成能力
他者を尊重しながら、自分の意見を伝える。周囲のさまざまな人々とコミュニケーションを取りながら、協力して1つの物事に取り組む。

・期待される能力・態度
【自分自身と他者の理解】
自己理解を深めるとともに、接する人々の多様性を理解し、それぞれの個性を尊重する能力
【コミュニケーション能力】
多様なコミュニティの中で、さまざまな人々とコミュニケーションを取り、豊かな人間関係を築く能力

●情報活用能力
学ぶことや働くことの役割を理解する。また、選択肢の多様性を知ったうえで、自らの進路選択に活かす。

・期待される能力・態度
【情報収集・模索能力】
進路や職業に対しての情報を収集し、かつ自らに必要なものを判断し、自己のキャリア形成に結び付けて考える能力
【職業理解】
さまざまな体験から、小学校で学ぶことと社会生活との関連や、今何をすべきかを導き出していく能力

●将来設計能力
夢や希望を持ったうえで、社会的な状況や現実を踏まえながら、前向きに自己の将来を設計する。

・期待される能力・態度
【社会的な役割の理解】
生活や仕事をしていくうえでの役割や意味合いを認識し、自己の取るべき行動について理解を深めていく能力
【計画・実行能力】
目標や社会の現実を踏まえながら、自分らしい生き方や進路を考え、実際に実現していく力

●意思決定能力
自らの責任の下に、よりよい進路を選択し、過程での課題や障害を解決し、克服する。

・期待される能力・態度
【選択力】
多くの選択肢を認識・比較したうえで、障害を克服しながら、自己にふさわしい選択をしていく能力。
【課題解決能力】
自らの選択に伴う責任を受け入れ、キャリアの実現にむけて課題を見つけ、解決に取り組む力

キャリア教育とは、子供たちが自ら生きていくための指標

キャリア教育は、子供たちが将来的に社会の一員としての自覚を持ちながら、自分らしい生き方を形にするための能力を培う教育です。情報教育や、グローバル人材の育成の重要性が謳われている昨今、キャリア教育は今後ますます大きな役割を担っていくでしょう。
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