従来の年功序列や学歴にとらわれず、若い人材を高いポストに起用する新しい人事のあり方、「抜擢人事」。少子高齢化における若い人材の就業人口の減少、雇用形態の多様化、日々変化していく産業構造の中で、一人ひとりの個性や才能を活かした人材マネジメントが注目されている。

2016年12月8日、東京・品川インターシティホールで行われた、株式会社カオナビ主催「カオナビ Management Camp 2016」では、「抜擢人事が組織を変える」をテーマに、各界第一線で活躍するキーマンが登壇した。抜擢人事実践の現場から見えてきたことは何か?強い組織を作るための人材活用について、白熱のパネルディスカッションをレポートする。

抜擢人事が組織を変える ~抜擢人事実践の現場から見えてきたこととは?~
トークセッションは2つのパートに分かれ、セッションIでは、実際に管理職に抜擢され活躍している若い3氏が、「抜擢人事」の現場で何を考え、どう行動し、どう成長したのかを自身の体験を踏まえながら語った。

【セッションI登壇者】
・株式会社サイバーエージェント 執行役員 石田 裕子 氏
・株式会社クラウドワークス 取締役副社長 兼 COO 成田 修造 氏
・SHOWROOM 株式会社(ディー・エヌ・エー子会社) 代表取締役社長 前田 裕二 氏

後半のセッションIIでは、ビジネスとスポーツ界の現場第一線で活躍する人事マネジメントにかかわる3氏による、ディスカッションが行われた。

【セッションII登壇者】
・株式会社サイバーエージェント 取締役 曽山 哲人 氏
・株式会社TEAMBOX 代表取締役
 (公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター 中竹 竜二 氏
・日清食品ホールディングス株式会社 人事部人材開発室 課長 橋本 晃 氏

・モデレーター:元リンクアンドモチベーション取締役
現株式会社JAM 代表取締役社長 水谷 健彦 氏

人材の市場価値は決断の量と質で決まる

株式会社サイバーエージェント取締役 曽山哲人氏によると、人材育成において一番重要視しているキーワードは、「決断経験」にあると言う。

「人材の市場価値は決断の量と質で決まります」と曽山氏。
決断と言っても何も大それたことばかりでなく、営業に使う資料選びや上司に対する提言といった小さなことでもいい。「大切なのはいかに日々、良質な決断を本人にさせるかです」と語り、次にサイバーエージェントで実際に行っている「抜擢人材のしかけ」について紹介した。

「CA8」(サイバーエージェント8人)では、8人の取締役が2年に1回、2人入れ替わる。「人材を変えたいと思ったとき、まず経営トップを変えます。この制度を取り入れてから、営業利益は3年で3倍~4倍に増加しました」また、新規事業と優秀な人材を発掘する仕組みとして、決議案を役員や社員が提案する「あした会議」や新規事業のための社内サークル、社内ヘッドハンティング専門メンバーによる適材適所への人事異動の仕組みや、「C36」(役員18名以外の予備チーム18名を集めての勉強会)など、人材抜擢と育成に関する事例を挙げた。

また曽山氏は、抜擢人材として「人間性」にも着目しているという。
「管理職の登用基準が1つだけあるのですが、それが『人間性』です。たとえやり方が下手でも、人望があればサポートしてもらえますが、人望がなければ本当に誰もついてこない。そのため管理職には人望がある人、あるいは磨こうとしている人を抜擢したいのです」

「OFF the Field」「OFF the Jo...

  • 1
  • 2

この記事にリアクションをお願いします!