「2016年卒向けインターンシップに関する調査」結果報告【2】つながりが深まるインターンシップと採用選考

HR総研が7月に実施した、2016年卒業予定者をメインターゲットとするインターンシップに関するアンケートの結果報告の2回目。インターンシップ参加者と内定者の関係を探る。

定員枠を増大した企業が3割に迫る

昨年もインターンシップを実施した企業に対して、前年からの変更点を尋ねたところ、28%の企業が「募集定員を増やした」と回答。その他、「1dayタイプを取りいれた」「回数を増やした」「開催月を増やした」も、その目的は「募集定員を増やす」ことにつながる。学生情報の早期入手だけが目的であれば、わざわざ定員を増やす必要はない。応募学生数が増えればいいだけである。「募集定員を増やす」ということは、「早期に直接会ってコミュニケーションできる学生を増やす」ことを目的としており、一次母集団として緩やかに採用に繋げていきたい企業の思惑が伺える。

[図表1]今年のインターンシップで変更した点

変更企業が多い今年のインターンシップ

以下、企業から寄せられた具体的な変更点をいくつか紹介する。

【募集方法の変更】
・キャリアセンター経由での申し込みだけでなく、学生からの直接応募も受け付けるようにした。(情報処理・ソフトウェア<、101〜300名)
・就職ナビサイトのWEBシステムを利用して、学生数をさばけるようにした。(食品、501〜1000名)
・ターゲット校を拡充した。(精密機器、1001〜5000名)

【プログラムの変更】
・どういう業界かを知るようなプログラムの導入。(フードサービス、5001名以上)
・グループワークのテーマの与え方(店舗研修で顧客ヒアリング〜働く意義の再認識)。(商社、101〜300名)
・1週間程度のプログラムを新設した。(商社、501〜1000名)
・半年間で6日間のインターンシップを、2週間で6日間に変更した。(フードサービス、101〜300名)
・1ヶ月だったものを2週間に短くした。(情報処理・ソフトウェア、501〜1000名)
・1DAYを夏季に実施し、学生に対しての門戸を広げた。(食品、501〜1000名)

インターンシップの選考に面接まで必要?

前回、インターンシップ実施企業が急増しているにも関わらず、想定以上の応募学生を集められている企業が7割となっていることを紹介した。応募者が定員以上となれば、当然全員を受け入れることはできず、何がしかの方法で選抜(絞り込み)をする必要が出てくる。その方法を尋ねたところ、トップは「大学側によるマッチング」の37%、次いで「書類選考」の35%という結果になった。
インターンシップの広報手段でも「キャリアセンター」は55%(前回の記事参照)と半数を超えており、告知ルートとしてだけでなく、応募者の絞り込み(マッチング)機能としての役割を果たしていることがわかる。
「適性検査」(4%)や「学力検査」(2%)を実施している企業は少数派にとどまるが、中には今回の選択肢には含まれなかった「面接」まで行っている例もある。インターンシップ参加者を採用選考に繋げるだけでなく、すでに応募の段階で選考につながる行為が横行していると言えないだろうか。
一方、「絞り込みはしていない」企業は42%と半分以下にとどまる。定員に達していないか、予定していた定員を超えたものの、何とか希望者を受け入れたということなのだろう。
もちろんインターンシップのプログラム内容によっては、ある一定レベルの学力や専門知識が求められるものもあるだろう。ただ、インターンシップの内容が実務経験ではなく、テーマを与えてのグループワークと言うことであれば、企業による「書類選考」や「適性・学力検査」、ましてや「面接」までしての絞り込みというのは行き過ぎで、まさに採用活動の一環と考えられても仕方ないであろう。

[図表2}インターンシップに参加できる学生の絞り込み方法

6割の企業でインターンシップ参加者から内定者

昨年インターンシップを実施した企業に、インターンシップ参加者のうち、最終的に内定につながった学生の割合はどのくらいかを質問してみた。これはインターンシップで選考したケースだけでなく、採用活動終了時点での結果論として、インターンシップ参加者のうち内定に至ったものがいたというケースまでを含んでいる。
これによると、インターンシップ参加者から内定者が1人も出なかった企業は39%、つまり残り6割の企業ではインターンシップ参加者から内定者が生まれていることになる。
「10%未満」が17%で最も多いものの、中には「50%以上」という企業が6%もある。インターンシップに参加した2人に1人以上が内定していることになる。もちろん、インターンシップに受け入れた人数によって、この割合が持つ意味は大きく異なってくる。例えば、2人受け入れて、うち1人でも内定していれば「50%以上」となるわけだ。多くはそういった例だが、中には、受け入れ人数が「20人」で、内定率が「50%以上」という企業(情報サービス・インターネット関連、51〜100名)もある。驚くべき割合だ。

[図表3]インターンシップ参加者のうち、内定につながった学生の割合(全体)

大企業で進む、採用施策としてのインターンシップ

内定者の割合を企業規模別に見たデータが[図表4]である。大企業では、内定者が「0%」の企業割合が26%と、他の企業規模と比べると最も低い反面、「30%以上」の割合が16%と最も高くなっている。大企業ほど、採用活動においてインターンシップを有効活用できていることがわかる。

[図表4]インターンシップ参加者のうち、内定につながった学生の割合(企業規模別)

内定者の1割以上がインターンシップ参加者の企業は27%

今度は見方を少し変えて、内定者に占めるインターンシップ参加者の割合を見てみよう[図表5]。もちろん集計対象は、昨年インターンシップを実施した企業だけだ。
内定者にインターンシップ参加者が1人もいない企業は39%。前述した「(インターンシップ参加者における内定者が)0%」の企業と一致する。最も多いのは「10%未満」で34%、つまり3社に1社は1割未満ということになる。内定者に占める割合が「10〜20%未満」は13%、「20〜30%未満」は9%と、割合が高くなるにつれ該当企業は少なくなっていく。ただ、中には「50%以上」という例(その他サービス、101名〜300名)もある。

[図表5]内定者に占めるインターンシップ参加者の割合(全体)

中小企業こそ、インターンシップを活用すべき

こちらも企業規模別に見てみよう[図表6]。
大企業と中堅企業では「10%以上」の割合は2割程度、中小企業に至っては4割近くに上る。もちろん全体の採用人数の多寡があるため、採用人数の少ない中小企業の方が割合は高くなりがちである。中小企業こそ、広く募集をかける採用活動よりも、インターンシップに受け入れてお互いにじっくり見極めた上で選考をする方法の方がミスマッチのない、効率的な採用ができそうだ。
2016年卒採用に向けて、今夏は中小企業でも初めてインターンシップを実施する企業が急増している。その結果が来年どう出るのか、期待したいところである。


[図表6]内定者に占めるインターンシップ参加者の割合(企業規模別)

【調査概要】

調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年7月3日〜7月10日
有効回答:198社(1001名以上 45社, 301〜1000名 50社, 300名以下 103社)