3人に1人が取適法を「知らない」…信頼関係や慣習が“意図せぬ法令違反”リスクにつながる実態が明らかに

フリー株式会社(以下、freee)は2026年6月5日、「中小受託取引適正化法(取適法)」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2026年3月26日~30日で、“発注側”として委託事業者に該当する企業に勤務する担当者500人、および“受注側”として中小受託事業者に該当する企業に勤務する担当者500人から回答を得ている。調査結果から、発注側・受注側それぞれの法改正に関する認知状況や、契約書を交わさない取引が行われている割合、手数料負担の慣習などが明らかとなった。

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3分の1以上が取適法を認知せず。受注側では45.4%が「知らない」と回答

2026年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)は、中小企業がサプライチェーンの中で不当な扱いを受けることを防ぎ、公正な取引環境を整備することを目的としている。契約内容の明示や支払条件の適正化など、従来の商慣行の見直しも求められる中、長年の取引関係や「相手への配慮」を重視してきた現場では、新たなルールへの対応が十分に進んでいるのだろうか。

調査によると、取適法について「知らない」と回答した割合は、発注側で33%、受注側では45.4%に上った。2026年1月の施行から3ヵ月が経過した時点でも、現場レベルでは法改正に関する情報が十分に浸透していない実態が明らかになった。
取適法について知っていますか?

「契約書を交わさない取引」が約3割。信頼関係が違反リスクにつながる可能性も


「2026年1月以降、業務委託契約書を締結せず、口頭やメールのみで契約したことがあるか」との質問では、発注側の28.6%、受注側の30.6%が「ある」と回答した。
2026年1月以降、発注/受注時に業務委託契約書を締結せず、口頭やメール等のやり取りだけで契約したことがありますか?
その理由として、発注側では「『契約書なしでよい』と提案した・言われた」が最も多く、「長年の取引関係があり信頼しているため」といった回答も目立った。一方、受注側では「取引先の手間を減らしたかった」が最多となり、「競合他社より柔軟に対応したかった」との回答も多く寄せられた。

双方とも相手への配慮や信頼関係を重視した結果、法令上求められる契約手続きを省略してしまうケースが少なくないことがうかがえる。
発注/受注時に業務委託契約書を締結せず、口頭やメール等のやり取りだけで契約したことがある理由

“振込手数料の負担慣行”が継続。「良かれと思って」が法令違反につながる恐れ

業務委託取引における振込手数料については、発注側の19.6%が「取引先に負担してもらった」、受注側の34.8%が「負担した」と回答した。
2026年1月以降、業務委託取引の支払いについて、取引先に振込手数料を負担してもらったことがある/振込手数料を負担したことがあるか
理由として、発注側では「慣習的に取引先が負担しているため」が55.1%で最多となった。一方、受注側では「取引先へのサービスとして実施している」が43.1%を占めた。

取適法では、受注側に振込手数料を負担させることは代金減額に該当し、禁止されている。調査結果からは、善意や慣習による対応が、公正な取引ルールとの乖離を生んでいる現状が浮かび上がった。
2026年1月以降、業務委託取引の支払いについて、取引先に振込手数料を負担してもらった/振込手数料を負担したことがある理由

手形払いも約15%で継続。「いつも通り」が見直しの壁に

「2026年1月以降、手形で支払いを行った・受けたことがある」と回答した割合は、発注側で14.4%、受注側で17.2%だった。
2026年1月以降、業務委託取引の支払いについて、手形で支払った/支払いを受けたことがありますか?
その理由として最も多かったのは、「従来から手形払いが慣習となっているため」で、発注側では48.6%、受注側では61.6%に上った。

取適法では対象取引における手形払いは禁止されているが、現場では従来の商慣行が根強く残っていることが明らかになった。
業務委託取引の支払いについて、手形で支払った/支払いを受けたことがある理由
本調査では、取適法の施行から3ヵ月が経過した時点でも、法改正の認知不足や従来の商慣行が依然として残っている実態が浮き彫りとなった。特に、契約書を交わさない取引や振込手数料の受注側負担、手形払いなどは、双方の信頼関係や配慮によって続けられているケースも少なくない。しかし、こうした従来通りの取引が、意図せず法令違反につながるリスクを抱えていることも明らかになった。中小企業との公正な取引を実現するためには、制度そのものの理解促進に加え、現場に根付いた慣習や運用の見直しをどのように進めていくかが重要な課題となりそうだ。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP708102_V00C26A6000000/

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