「ピボット」(pivot)とは、本来「回転軸」の意味ですが、最近ではアメリカのシリコンバレーなどのベンチャー企業で「方向転換」「路線変更」といった意味で盛んに使われるようになりました。

新たに立ち上げた企業が当初の目論見通りに発展していくとは限りません。特にベンチャー企業の場合には新しい技術やサービス、ビジネスモデルといったものを経営基盤とすることが多く、これらが市場に受け入れられれば短期間で大きく成長することもありますが、そのようなケースはまれで、むしろ方向転換や路線変更を強いられるケースの方が多いといっていいでしょう。この方向転換や路線変更をピボットと表現するわけです。

ピボットは決して悪いことではありません。新たに企業を立ち上げた際には、ピボットをどれだけすばやく、数多く作れるかが、成功のカギとすらいわれています。

どれほど優れたアイデアであっても、実際に試してみなければ使えるものか分かりません。新しい技術やサービス、ビジネスモデルといったものも、消費者のニーズに触れて初めて評価することができます。たとえ失敗したとしても、決して無駄にはなりません。そこから学ぶことは数多くあるはずです。

こういったことはキャリア開発にもいえます。すべての人が思い描いたキャリアを積み重ねていけるとは限りません。むしろ、思い通りにいかない人の方が多いことでしょう。個人レベルでも企業と同様に何度かのピボットを経験することになるわけです。しかし、それは決してマイナスではありません。むしろ、可能性を探ってみないことのほうが、将来に対するリスクは大きいといえるかも知れません。

とはいえ、方向転換は容易なことではありません。やはり、人事担当者のサポートが重要な要素となるでしょう。