「IFRS(国際会計基準:International Financial Reporting Standards)」とは、ロンドンに本部を置く民間団体であるIASB(国際会計基準審議会:International Accounting Standards Board)が策定する世界共通の会計基準のこと。現在、100以上の国と地域で採用されています。IFRSの読み方はさまざまですが、一般的に「イファース」、「アイファース」と呼ばれています。

IFRSは2005年にEU域内の上場企業に適用が義務化され、以後、世界各国で適用する動きが一気に広がりました。ただ、適用を義務化していない国もあります。主要国ではアメリカと中国が自国基準を使用しているほか、日本では、2010年3月31日以後終了する連結会計年度より、IFRSの任意適用を開始している状況です。

金融庁が2017年2月に公表した「国際会計基準をめぐる最近の状況」によれば、日本でIFRSを任意適用または適用を予定している企業数は、上場企業131社、非上場企業4社の計135社。このうち、上場企業の時価総額(2017 年1月末時点)は約133.93兆円で、日本の全上場企業の時価総額に占める割合は22.59%に達しています。金融庁が普及促進を図っていることもあって、日本のIFRS適用企業数は、ここ数年、大きく伸びています。

世界中の上場企業がIFRSという同じ会計基準を採用すれば、投資家にとって、共通のモノサシを用いて各国の企業の業績を比較できるというメリットが生まれます。企業側にとっても、グローバル展開している企業などは、国内本社と海外子会社が同じ会計基準で決算を行えば、当然、経営効率も上がりますし、海外企業のM&Aを行う場合も、同じ基準で財務内容を比較できるといったメリットがあります。

ただし日本では、IFRSに移行した場合でも、会社法上では日本基準での開示が求められるため、IFRS用と日本の会計基準用の複数帳簿が必要になり、事務負担が増えることは避けられません。導入にあたっては、メリット、デメリットの両面を十分に検討し、周到に準備をした上で進める必要があるでしょう。