2017年2月28日、富士通株式会社は同年4月21日から全社員約3万5000人を対象に「テレワーク勤務制度」を正式導入すると発表した。

同社では、この制度の導入により自宅はもちろんサテライトオフィス、出張先や移動中など場所にとらわれずにフレキシブルな働き方が可能になるとしている。2015年からすでにテレワークを試行しており、2年間で延べ1,200人が利用した結果、生産性が向上し、セキュリティ上の安全性が確認されたために正式導入が決定したという。
富士通が全社員35,000人にテレワークを導入、「三位一体の働き方改革」とは?

制度導入の背景とは

制度の導入の背景には、日本社会におけるグローバル化の進展、労務構成の変化への対応の要請がある。そうした状況下では多様な人材の活躍が求められ、それを叶えるためには柔軟な働き方の改革が必要になってくる。

また、同社の経営方針の「つながるサービス」の実現による顧客のデジタル革新を支えるためには、社員の成長と生産性の向上が不可欠だ。顧客のデジタル革新のスピードに対応できる社員の成長を促すためにも、一層の生産性の向上が必要になる。

同社はこうした環境の変化に対応するべく、2010年度から本格的に育児・介護と仕事の両立を支援する取り組みを行ってきた。限られた時間内で社員一人ひとりの能力や創造性を最大限に発揮できる制度整備も、今回のテレワーク勤務制度の導入により、さらに推し進めることになる。

テレワーク勤務を可能にしたICT

テレワーク勤務の導入を可能としたのは、技術的基盤の整備にある。ICTの活用、ハードディスクを持たないシンクライアント端末やOSやアプリを入れない仮想デスクトップ、グローバルコミュニケーション基盤を活用することで、高い情報セキュリティを確保できるが、その環境が整えられたからこそ、今回の制度導入が果たせたと言えるだろう。

さらに同社では、タイムリーな労働時間管理を行うため、PCやスマートフォンを活用し、どこでも出退勤打刻ができる仕組みを2017年1月から導入している。同年4月からは労使ともに課題となっているサービス残業抑止のためのソリューションも導入してPC利用時間や業務内容を見える化し、残業申請時間外のPC利用を制限したり、ポップアップで定時退社を促進できるようにするのだという。テレワークでは従業員の姿が見えないだけに時間管理が課題になるが、こうしたシステムの活用で管理職と社員の時間に対する意識が共有され業務効率化が期待できる。

今後、富士通は従来の施策に加えて、制度改革、ICTの活用、意識改革の三位一体となった「働き方改革」に取り組むとしている。多様で柔軟、且つ長時間労働を前提としない働き方を実現して、生産性の向上につなげるというものだ。
今後は「働き方改革推進委員会」を設置して、働き方改革の進捗確認や推進検討を行い、全社的な働き方改革を推進していくことを強調している。

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