部下の立場として、新入社員に「教えてくれるのが当たり前」と考えさせてしまうことは、避けなければなりません。
意識調査の結果からは、残念ながら、「教えてくれるのが当たり前」と考える新入社員が増えているようですし、実際に見聞きする特徴的な新入社員の言動からも、この傾向は強まっていると思われます。


たとえば、現場では、・電話に出ない。「電話の出方、私の教えてもらっていません」と平気で言う。
・「お客様にこれを送っておいて」というと、「住所は?」「郵便ですか」「いつ、届けばいいんですか?」など、以前にやった仕事と同じでも、細かく聞いてくる。
・何かミスを起こしたとしても、「指示された通りやりましたから」と自らの責任は回避しようとする。
など、主体性が欠如しているとしか思えない言動があるようです。

そうなると「主体性を持った行動」に対応するマネジメントが必要です。自ら努力する、がんばるというマネジメント、環境づくりが重要になってきます。
たとえば、店頭販売の担当者が「今日は、こういう説明をしたら、お客様に納得していただけた」と感じる体験があれば、それは間違いなく成長であり、先々の業績につながると思います。
なんとか、商品を理解して欲しい、お客様にお役に立ちたい、という思いから生じるその成功こそ、私たちの求めるものです。
私たち管理者は、そんな小さな成功、成長を積み重ねさせられるマネジメント、環境作りを行なうことで、育成を行なっているのではないでしょうか。


反対の事例で、たとえば、経理の担当者が「野菜ソムリエの資格、取りました!」と言っても、まず間違いなくその資格は使えません。「野菜に詳しい」という方向で自ら努力し、
成長の証拠を示されても、それは経理には関係のないことです。
「料理がうまくなり、家庭円満になり、食生活が改善し健康度も増しますから、仕事もはかどります」などと「風が吹けば桶屋が儲かる」式の無茶なつながりを示されても困ります。
企業において、そこに属する成員の成長は、業績を出そうとする行為から生まれるもので、だからこそ、成長は、業績で証明されるものだと思います。


ただ、同じ環境においたからといって、すべての人が同じように成長するわけではなく、吸収力の良い人とそうではない人に分かれるのが実態です。


自ら学ぶ人には新たな仕事のチャンスを与え、権限と責任を与え、挑戦させなければなりません。
その挑戦した結果を許容(失敗でも)することも重要です。
実践での育成ほど効果的なものはありません。


自らなかなか学べない人を放っておくと、ルーティーンワークから抜け出せず、マンネリ感の漂う空間に慣れ親しんでいくか、新たな成長の場を見つけるべくドロップアウトするしかなくなります。
だからこそ、小さな成長の機会を見つけ、ほめ、継続させるという細かな指導が望まれます。
部下個別の対応が重要であり、管理者が最後まであきらめないことが肝心です。
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