「飲みに行ったりはしないなぁ。そういうの、今の若い人はイヤでしょ?」と話すある販売会社の営業所長に会ったことがあります。
このように、新卒社員が「個人的な付き合い」をあまり求めてはいない、という感覚は、多くの管理者、中堅社員が感じていることなのではないでしょうか?
そうだとすると、前出のデータと私たちの感覚とは、あわないことになります。
これはどう考えればよいのでしょうか?

5つの意識のうち、人間関係の意識はこの数年、上昇傾向にあります。
新入社員の人間関係意識の中核とは、「まわりと合わせる、仲良くする」ということであり、この「仲良くする」「人間関係を作る」というレベルが、薄く広いものになっているのではないかと私は思っています。
「多くの先輩と幅広くつき合うより、特定の先輩と親密になる方が得である」という設問で「そう思わない」と答えた割合は、2003年の68.9%以降、上昇傾向にあり、2013年74.9%では、になっています。

企業内では、新卒社員が考えているよりも、もっと濃い人間関係が求められますし、その人間関係を構築するほうが、自分たちのためになるということをまだ知らないのだと思います。

私的経験ですが、私の母は心臓が弱く、人工心肺を使って手術をしたこともあります。このことを黙っていてもたぶん、仕事には支障はないのですが、まわりに伝えておくことによって、いざというときに病院に駆けつけなければいけなくなっても、支えてくれると思っていたので、私は伝えていました。
もし、伝えないままいきなり仕事を休んだら、「なんだ、この忙しいときに・・・」と言われるのは間違いありません。
その後も何度か入院しましたので、突然、休むこともありましたが、仕事では迷惑をかけることなく済みましたし、心証を悪くすることもなかったと思います。

また、近年は、上司自らも共同体意識が薄くなり、部下を飲みに誘ったりはしなくなったのではないかと思います。
これは、この二十年くらいの間に、実力主義や実績評価、自己責任意識の強調、転職の常態化が進み、知らず知らずのうちに我々自身の共同体構築志向が弱まったためのそのようになったと考えています。
(いくら親切に教えても、部下が次々転職していく・・・という挫折感であるとか)

そのような近年の環境を考えてもなお、私は、企業というのは一つの共同体(コミュニティ)であるべきだと考えています。
この点を強調していくべきであるとも思っています。

コミュニティの中には、能力の高い人もいれば、低い人もいる。
Aという作業が得意の人もいれば、Bという作業が得意だという人もいる。
エース級の社員ばかりではない、B級の社員もC級の社員もいる。
だけれども、お互いに各自の出せる力を全力で出し合い、お互いがお互いを補完しあいつつ、助け合って生活を営むのが共同体です。
かつて日本の企業は、そのような共同体の色が濃かったのではないでしょうか。
それは、ある種の保険でもあったはずです。
お互いを信頼し合える風土がそこにはあります。それこそが企業の最大の財産になるのです。
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