厚生労働省が広報する「一般職業紹介状況(平成27年2月分)について」によると、2015年2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍。前月より0.01ポイント、前年同月より0.1ポイント上回っており、引き続き企業にとって採用の難易度が高い状況が続いている。人事はキャリア採用をどう捉えているのだろうか。

HR総研にて2015年2月4日~2月17日に実施したアンケート調査より、「キャリア採用」に関する調査結果をレポートする。

キャリア採用の目的/課題

キャリア採用の目的を調査したところ「欠員補充」が44%と最多回答ではあるが、「増員」も全体の1/3(34%)を占める結果となった。この結果からも求人数が増加していることが見て取れる。


〔図表1〕キャリア採用の目的

キャリア採用に関する調査結果

続いて、「キャリア採用における課題」を聞いたところ、回答で圧倒的に多いのは「ターゲット層の応募者を集めたい」(58%)だ。続いて「応募者の数を集めたい」(39%)、「技術職採用を強化したい」(27%)。つまり「ターゲット層が集まらない」、「応募者の数も足りない」、「技術者採用がうまく行っていない」と悩んでいるようだ。


〔図表2〕キャリア採用の課題

キャリア採用に関する調査結果

フリーコメントでも「中途市場もかなり売り手市場となり、一定レベル以上の応募がこない」「会社の規模が小さく、応募が少ない」「業界のイメージが悪く、なかなか人が集まらない。」「期待外れが多い」など、ターゲット層にリーチすることの難易度を嘆く声が多く上がった。また、「前職の経験値が読めない」「適正な応募者がなかなか集まらず、結果として採用が長期化している」「採用目標が設定されていない」など、悩みは尽きないようだ。

2014年度キャリア採用数/達成率

キャリア採用数の増減見込みを見てみよう。前年度と比較した採用人数について尋ねたところ、「増える」と回答したのは26%であり、半数は「変わらない」(49%)と答えている。「減る」と回答した企業が19%に留まることからも、全体的には増加傾向と言える。
なお、業種別で見ると、メーカー系で「増える」という回答は17%に対し、非メーカー系では31%と2倍以上の回答比率を占め、非メーカー系での求人数の増加が多いことが分かった。


〔図表3〕前年度と比較したキャリア採用人数

キャリア採用に関する調査結果

また、2014年度キャリア採用年間目標数に対する達成率を全体で見ると、「50~70%未満」が16%、「70~90%未満」18%、「90%以上」24%であり、達成率50%以上の企業が6割近くを占める。企業規模別で見ると、「1001名以上」の達成率50%以上は7割以上だが、「1~300名」の達成率50%以上は5割強と20ポイントの差があり、中小企業の採用は苦戦していることが伺える。


〔図表4〕2014年度キャリア採用年間目標数に対する達成率(企業規模別)

キャリア採用に関する調査結果

メーカー/非メーカーで異なる、利用するキャリア採用支援サービス

キャリア採用で利用している手段・支援サービスでもっとも多いのは「人材紹介」(62%)だ。以下に「転職ナビ」(43%)、「自社ホームページ」(42%)、「ハローワーク」(41%)、「従業員からの紹介」(35%)が並んでいる。
紙メディアは「転職情報誌」(9%)、「新聞広告」(4%)と10%未満にとどまっている。

なお、メーカー系で圧倒的に多いのは「人材紹介」の80%。2位以下の「自社ホームページ」(36%)、「転職ナビ」(30%)、「ハローワーク」(30%)との差はとても大きい。

非メーカー系は多彩なメディアを満遍なく使っている。「人材紹介」(53%)は最多だが、「転職ナビ」(51%)、「ハローワーク」(47%)、「自社ホームページ」(45%)との差は、メーカーと比較して少ない。


〔図表5〕キャリア採用で利用している手段・支援サービス

キャリア採用に関する調査結果

なお、「今後、利用が高まると思われるキャリア採用の手段・支援サービス」を聞いたところ、最多回答は「人材紹介」(45%)であった。「ハローワーク」は「現在」の採用手段として40%の回答率があるが、「今後」では8%しかない。

人材紹介に期待されること。コメントにあふれる「ミスマッチ」という言葉。

多くの企業が活用している「人材紹介に期待すること」で多いのは「求める人材の紹介を増やしたい」(52%)と「紹介手数料を抑えたい」(49%)、そして「紹介入社者とのミスマッチを減らしたい」(41%)である。手数料を抑えていい人材を紹介してもらい、ミスマッチをなくしたいというのが人事の本音のようだ。


〔図表6〕人材紹介に期待すること(全体)

キャリア採用に関する調査結果

一方で、フリーコメントには「ミスマッチ」という言葉があふれている。

・人材紹介会社の担当者の質(レベル)が低いと、話にならない
・成約率が2~3年前と比較しても大きく下がっている
・営業担当の職種、業務に対する理解が足りないため、紹介人材のスペックがミスマッチ
・紹介者と当社が求めている人材のミスマッチ
・一定の応募はあるが、双方マッチする数が少ないのが現状

「期待」とは「現状への不満」という側面があるようだ。


また、「利用している人材紹介会社に満足しているか」を聞いたところ、全体の3%が「非常に満足」、43%が「まあまあ満足」と回答している。「転職ナビ」に対しても同様の調査をしている(※)が、比較をすると、人材紹介のほうが満足度は高めであるが、「満足している」という回答は半数に満たない。
(※)「利用している転職ナビに対する満足度」:「非常に満足」(0%)、「まあまあ満足」(36%)


〔図表7〕利用している人材紹介会社に満足しているか

キャリア採用に関する調査結果

満足している理由で圧倒的に多いのは「紹介者の質」(44%)だ。次に「内定実績」(32%)、「紹介者数」(29%)、「営業担当者」(29%)、「募集情報の理解度」(19%)と続く。


〔図表8〕利用している人材紹介会社に満足している理由

キャリア採用に関する調査結果

なお、「人材紹介に期待すること」という問いでは49%の企業が「紹介手数料を抑えたい」と回答しているものの、「満足している理由」において「価格」は5%と低い。「成功報酬」という課金方法も起因していることが想定されるが、「ニーズにマッチした人材」が採用できることが、当然ながら最重要事項であると考えられる。

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業人事責任者・担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2015年2月7日~2月14日
有効回答:147件(1001名以上:28件、301~1000名:43件、300名以下:76件)

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