ワールドカフェというものをご存知だろうか?このコラムをお読みいただいている勉強熱心な方はご存知かもしれない。今回は、ワールドカフェについて解説することが目的ではないのであえて解説はしないが、対話会のようなものだと思っていただければと思う。
初めてのワールドカフェ

 私は同業の方にお誘いいただき参加したが、参加者の多くはサラリーマンの方々であった。もう4年ほど前の話である。まず、参加して驚いたのは参加者の人数だ。10人や20人という人数ではなかった。大きな会場に溢れんばかりの人であった。ワールドカフェというもの自体を知らなかった私は、これほど多くの方々がワールドカフェというものにご興味があるのかと驚いた。

 そして、参加した目的を聞いてさらに驚いた。「職場の人間関係をもっと円滑にしたい」「もっと職場をよくしたい」という思いから参加している方がとても多かったのだ。どうすれば、もっと良い職場になるかを真剣に考えていた。そして、職場でのコミュニケーション不足を嘆いていた。

 ワールドカフェに参加したあと、いくつかのコミュニティに所属し多くの対話会に参加した。様々なワークショップにも参加したが、どこも多くの参加者でいっぱいだった。

 これをお読みの人事担当者の会社の従業員の方々も、実はこのような対話会や社外の勉強会に参加している方がいらっしゃるかもしれない。もし、そのような話を聞いた場合には、本人ははっきり言わないかもしれないが、「良い職場にしたくて苦悩しているのかもしれない」と思っていただければと思う。

 「いや、社外でそのような活動を行っている従業員はごくごく少数だ」と言われたことがある。もしかしたら、そうなのかもしれない。

 しかし、もう諦めているだけかもしれない。人間は目の前を自分の力ではどうしようもないと思ったときに無気力になるものだ。職場の人間関係は既に自分の力ではどうしようもない(言っても無駄だ)と思って諦めているだけかもしれない。もし改善されると思えば、積極的に活動をするかもしれない。

 これを解決するには、まず話を聴くことから始めてみてはどうだろうか?

 話を聴いてもらえないと悩んでいる従業員は想像以上に多い。人の話を聴いている最中にアドバイスをしたくなることは多く、それでは話を聴いてもらっているという気にはならないだろう。

 話をしている人は既に答えをもっているので、アドバイスをするなという方も中にはいる。それはときと場合によるのであって、必ずしもそうとは言えないだろう。心底アドバイスを求めていることもあるからだ。現状を打破したいが、そのきっかけすらないときのアドバイスはとてもありがたい。

 しかし、それは話を最後まできちんと聴き、相手が何を求めているのかをきちんと把握してからだ。結論は既にあり背中を押して欲しいだけかもしれない。そのようなときに、アドバイスをするべきではない。背中を押して応援してあげればよいだけだ。本人が考えていることとは真逆なアドバイスをすると「やはり、私のことを理解してくれていないのか?」「どうせ、言っても無駄だ」ということになるのではないだろうか?


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所  小嶋 裕司

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