日本の新卒一括採用の選考では、エントリーシートなどの事前の書類選考もあるが、ほとんどは面接で決まっているのが現状だ。特に大手企業の実質上の面接解禁日となる4月1日から数週間は、多くの企業で一般の社員も面接官として駆り出され、大量の面接が同時進行して選考結果が決定されていく。
「インターンシップ採用選考」は日本で広がるか?

実は、そこには多くのミスマッチを生む原因が潜んでいる。短期間の数回の面接だけで本当の学生の能力が分かるのか、面接手法の素人である一般社員がどこまで学生の資質が見極められるのか、短期間に多くの企業の面接が集中するために学生が複数の志望企業を受験できないなど、以前から問題が指摘されながらも、結果として日本企業の横並び意識から同様のことが繰り返されてきたのが現状だ。
 そうした中で、インターンシップで採用選考するという事例が増えてきており、注目されている。その背景と今後の予測について説明しよう。

 海外ではインターンシップを採用選考に活用するのは当たり前のことなのだが、これまで日本では経団連の新卒採用の自主的なルールである「採用選考に関する企業の倫理憲章」によって、インターンシップは選考と結びつけることが禁止されてきた。インターンシップを採用選考につなげることを認めると、実質的な採用選考の早期化、いわゆる「青田買い」が横行する懸念があるためである。ただし、この経団連の「倫理憲章」は、経団連傘下の数百社の企業に当てはまるだけであり、その他の企業はルールに縛られないのだが、これまでは何となく全体のルールのように見られていた。
 しかし、これまでも外資系企業などはこのルールに縛られず、インターンシップで採用選考を行ってきているし、IT関連のベンチャー企業などもインターンシップによる採用をどんどん行っている。また、ユニクロがミスマッチを減らすためにインターンシップによる採用選考を宣言するなど、大手企業でもインターンシップ採用の動きが出てきていた。
そこに、2016年4月入社の新卒採用に向けて政府が採用広報、選考時期を遅らせるよう2013年3月に提言し、7月に経団連がこれを受け入れたことが、インターンシップ採用の動きに拍車をかけている。
 この政府提言は、企業の採用時期の早期化が学生の学業の圧迫を起こしているという考えから、会社説明会など採用広報の開始時期を大学3年の12月から3月へ、選考開始時期を4年の4月から8月に遅らせるというもので、実際には来年から施行される予定である。経団連は、この提言をおおむね受け入れたのだが、従来の「倫理憲章」という表現から「指針」という表現に変え、このルールを順守するトーンがかなり落ちているように見られている。その「指針」では、インターンシップを採用選考につなげないことは従来通りなのだが、拘束力自体が落ちている中で、罰則規定もなく、インターンシップ採用が広まる予測を生んでいる。

 さらに政府自体が、学生と企業のミスマッチ解消と学生の就職率向上のために、インターンシップを採用に活用することを推進しようとしている。選考時期を遅らせようとする動きと一見矛盾するのだが、政府は産学連携でのインターンシップによって結果的に採用に結びつき就職率アップを目指す施策を増やそうとしている。

 そうした動きを受け、企業は2016年度新卒採用を待たず2015年度新卒採用から、インターンシップを実施する企業が急増している。就職ナビ企業などが運営するインターンシップ受付サイトでは掲載企業数が昨年に比べ軒並み倍増以上で、いかにインターンシップによる採用を効果的に増やすか、企業による実験的な試みが多数進行している。大学側でも企業からのインターンシップ学生受け入れが急増しており、今後このような動きにどのように対応していくか検討しているところが多い。

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