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評価項目はウソをつく

HRプロ編集部
2014/02/28

社員の一定期間における成長度合いを評価し、それを処遇等に反映させる人事評価においては、評価者が陥りやすい過ちとして、寛大化傾向やハロー効果といった5つの傾向が知られており、その過ちを修正するための評価者研修などもよく開催されている。評価者研修等で学んだ経験があればあるほど、今さらながら、他者を評価する難しさを痛感されるものだと思う。
 スポーツを見ていると、日々の鍛錬の先に勝利があるものだと感心し、「練習はウソをつかない」という言葉が頭に浮かぶ。ただ、何も考えず、そこに意図が見えない練習では、ときに「練習もウソをつく」結果になるものだ、と、いつか記事で読んだことがある。
 さて、単に処遇を決定する査定という目的だけでなく、むしろ、人材を育成、成長させて成果を出すための道具としての役割に重きを置いて、評価シートを活用している会社もあるだろう。処遇と直接結びつけていなくても、社内に目標管理を導入している会社も多い。
 だが、実際の運用となると、残念ながら、評価者研修を繰り返してもうまく機能しているとは言えない。評価者が未熟だと考える前に、そもそもその評価項目は本当に会社が今、社員に求める目的に合った項目なのだろうか。
 あなたは、評価項目を疑ったことはあるだろうか。

 たとえば、多くの会社が導入しているのに、なかなかうまく活用できていないとされる目標管理。うまくいかない大きな理由として考えられるものに、社員が目標を低く設定してしまうことが挙げられる。評価の指標を目標達成率にすると、目標を低くすれば達成率は上がることから、どうしても自己目標を低く設定しがちになる。それを防ぐために、会社は、会社全体の目標を各社員に割り振る、いわゆる「ノルマ管理」をしてしまう悪循環だ。ここで間違ってはいけないのは、率とつけばなんでも問題があるというわけではない。粗利益率や回転率などは指標として有効である。
 何にしろ、単にできた、できないという結果のみを管理するだけなら、その評価項目(=目標、以下目標と称す)で結果が出せるのか、適正なのかは判断できるものではない。

 目標管理制度の本来の趣旨は、組織目標の遂行にある。処遇に反映することが目的とか、人事制度のツールということでもなく、マネジメントのツールである。よって、仕事をうまく進めていくことこそが目標管理を実践するということであり、社員が腑に落ちない目標では、その先にある組織目標の遂行は成し得ない。
 組織目標に準じて決定した個別の目標が抽象的であるなら、より具体的な複数の構成要素に分解して、どの要素が目標達成において重大かを、上司の支援も仰ぎながら、検討・実証で分解して、取り組みやすい内容に設定していくことが必要である。たとえば、単に、個人売上を目標にするのではなく、見込み客数や製造原価、注文回数など、一般職になればなるほど、売上という大項目よりも、よりイメージしやすい身近な内容を設定することが目標達成への近道である。目の前の小さな目標を、階段を一段ずつ上がるようにクリアしていくことで自信とモチベーションも維持できる。

 製造現場や、技術開発などの部署では、現状の問題点をゼロにすべく、原因を追求する姿勢が必要だが、人や組織の管理の場合は追究が追及となって、人を追い詰め、組織のモチベーションを下げる要因にもなりかねない。
 原因を追及していく方法もひとつの手法ではあるが、人や組織に関わる問題の場合は、人を追い詰め、責任を追及するだけで、根本原因にはたどりつけない場合もある。

<次の手順で目標を見直してみる>
(1) 現状の問題をありのままの事象として認識する。
今の立ち位置を確認する程度。
(2) (1)で明らかになった問題を解決する方法を過去にさかのぼって探す(例外的、短期的にしろ、うまくいった例が組織の中にあるはず)。
(3) (2)のうまくいった例がうまくいった理由を具体的に考える。
(4) 課題を出来るだけ具体的、定量で表す。
(5) (4)の成果を出すためのプロセスの中から、最優先で取り組む行動を決定する((2)(3)と同じかもしれないし、(2)(3)で挙げたものの中の一部かもしれない)。
(6) (5)で決定した行動を進捗管理するための小さな節目を決定する(日常の行動目標)

 上記、(1)から(6)の手順によって、最初は全然できていない、むしろマイナスからのスタートと思われたものが、実は例外的でも良い結果を残した事実があり、数字で示せば、ゼロよりも進んだ位置からのスタートであることが見えてくる。
 全然できていない、わけではなかった。立ち位置が変われば、昨日の評価項目はウソをつく(結果が出せない)かもしれない。


鈴木社会保険労務士事務所 鈴木 早苗

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