人の話を聴くことは苦痛?|採用、育成・研修、労務・人事に関する情報ならHRプロ

人事にプロのサポートを―新卒採用、中途採用、人材育成、研修、人材マネジメント、労務、人事システム、適性検査ならHRプロ

  • 11/21開催:キャンリクフォーラム 大学と企業の合同相談会2017

人の話を聴くことは苦痛?

HRプロ編集部
2014/02/20

会社の会議などでもどこでも自分の意見が通らないことの方が多い。しかし、不満が残るときと、それほど残らないときがある。その違いはどこで生じるのであろうか?
「きちんと話を聴いてもらえた」と感じているかどうかが大きいと思う。そのように感じると不思議と不満は残らないことが多い。だからこそ、人の話を聴くことは極めて重要だ。
 しかし、人の話をきちんと聴くということはけっこう難しい。私はあるコミュニティに所属して、定期的にワークショップやダイアログを主催したりしていた。そこで学んだことは自分の話をきちんと聴いてもらっていると感じている人があまりに少ないということだ。

 そもそも、人の話をきちんと聴くということを勘違いしている人は多い。以下のAさんとBさんの会話をまずは見ていただきたい。学生時代の友人が社会人になり何ヶ月かぶりに再開したときの会話だ。

A「この間、北海道に行ったんだけどさ」
B「北海道なら僕もこの間行ったよ。蟹が美味しかったな」
A「自分は新入社員研修で行ったんだけど、その研修がひどかったんだよ」
B「新入社員研修で北海道に行けるなんて凄い会社だね」
A「まぁね。マナーの研修だったんだけど、マナーを教えるはずの講師のマナーがひどかったんだよ」
B「はははっ、僕もマナーは人のこと言えないな」

 BさんはAさんの話をきちんと聴いているつもりかもしれない。しかし、Aさんの話をきちんと聴いていないのは明らかであろう。BさんはAさんの話をきっかけとして自分の話をしているだけである。これではAさんは話を聴いてもらっている気はしないはずだ。具体例が少し極端すぎたかもしれないが、以下のような会話はよく見かける。

A「この間、北海道に行ったんだけどさ」
B「へぇ、いつ頃の話?」
A「つい、この間の話だよ。新入社員研修で行ったんだけど、その研修がひどかったんだ」
B「そうなんだ。どんな研修?」
A「マナー研修だよ。でも、マナー研修なのに講師のマナーがひどくてさ」
B「そうなんだ。それはひどいね」


 BさんはAさんの話をきちんと聴いていると思っているかもしれないが、やはりBさんはAさんの話をきちんと聴いているとは言えないだろう。

 BさんはAさんの会話を先回りして話を進めている。それは必ずしもAさんが言いたいことと同一だとは限らない。実際、Aさんが話したいこととは何の関係もない話にそれていっている。いつ北海道に行ったかは重要ではないし、「研修の内容」について詳細に話したかったわけではない。仮に、Aさんの言いたいことが話の途中でわかったとしても話を進めてしまっては聴いているとは言えない。言葉に出さずとも頭の中で勝手に進めてしまっていたりしたら同じだ。話をしている人間にはわかるものだ。

きちんと聴いていたら次のような会話になるだろう。

A「この間、北海道に行ったんだけどさ」
B「へぇ、北海道に行ったんだ」
A「そうなんだよ。新入社員研修で行ったんだけど、その研修がひどかったんだよ」
B「凄い顔をしているね。よっぽど酷い研修だったんだね」
A「そうなんだよ。マナー研修なのにマナーを教えている講師のマナーがなってなくて」
B「はははっ、それはひどいね」

 この文章をお読みいただいている方の中には「そんなことはわかっている。しかし、それができない」という人もいると思う。それは、決しておかしなことではない。むしろ、普通のことだとさえ思う。

 なぜなら、誤解を恐れずに言うと、そもそも、多くの人にとって人の話を聴くことは苦痛だからである。人間は人に自分の話を聴いて欲しいのであって、人の話を聴くことは苦痛なのである。

 私が尊敬するプロのコーチが「最近になってやっと人の話を聴くことが苦痛でなくなった」と仰っていた。プロでさえそうなのであるから、訓練を積んでいない人間が苦痛なのは当然である。そう思うと少し気持ちが楽になるのではないだろうか。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

プロフィール

HRプロ編集部

「採用」「教育・研修」「労務」「人事戦略」など、人事がイマ知りたい情報をご提供します。 押さえておきたい基本知識から、最先端のニュース関連情報、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届け。

2019卒版 インターンシップ プログラム作成完全マニュアル申込受付中

関連リンク

  • 「働き方改革」・「健康経営」で重要性が増すモチベーション管理・メンタリティマネジメント

    従業員のメンタルヘルスやモチベーションを管理する「メンタリティマネジメント」に注目が集まっている。従来の対症療法的・受動的なメンタルヘルス対策ではなく、積極的に従業員のストレスをコントロールしていく点がポイントだ。 「働き方改革」や「健康経営」が謳われるようになって以降、特にその傾向は強まっており、企業における従業員のメンタルヘルスケア・モチベーション対策は急務である。

  • 労働基準法改正(予定)について

    昨今、働き方改革の気運がある中、労働基準法の大幅な改正が検討されている。厚生労働省では「長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直しを行う等所要の改正を行う」と、特に労働時間がクローズアップされている。 下記、主な改正予定内容を紹介したい。

  • 「長時間労働で高収入」より「ワーク・ライフ・バランス」 〜『連合』調べ、理想とする社会イメージに関する意識調査

    就業形態が多様化する現代社会において、人々はどのような働き方を望んでいるのだろうか。日本労働組合総連合会(略称:連合)が、働く人が持つ生活意識や社会の理想像を把握するため「日本の社会と労働組合に関する調査」を実施した。調査はインターネット上で行われ、全国の15〜64歳の勤労者(自営業・フリーランス、役員・経営者を除く)1,036名の有効サンプルを集計した。今回の調査結果から、働く人が抱く生活意識や社会の理想像を垣間見ることができる。

  • 「東急電鉄(連結)ダイバーシティマネジメント宣言」を制定。多様性を生かした付加価値創造を目指す

    東急電鉄は9月12日、従業員の多様性を生かす組織づくりの推進による企業の競争力強化を目指し「東急電鉄(連結)ダイバーシティマネジメント宣言」を制定した。 同社は、この宣言により、ダイバーシティマネジメントの推進を持続的な成長のための経営戦略の一環と位置付け、全従業員に浸透させることで、違いを生かした新しい価値を生み出せる企業体を目指すとしている。

  • 65歳以上シニアの再就職はハードル高く。働く場所はないと感じるシニアも

    エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」は、65歳以上の男女2,000人を対象に「シニアの労働観・労働実態」に関する調査を実施した。同社が以前行った調査では、働く意欲があって働けているシニアは現在の生活の満足度は平均76.0点だったのに対し、働きたいが定期的に働けていないシニアの満足度は平均65.9点であった。これを受けて、今回は働きたいシニアがなぜ定期的な仕事に就けていないのか、その理由についてどう考えているのかについて調査した。(アンケート対象:「とても働きたい」「ある程度は働きたい」と考えているが「不定期に働いている」か「働いていない」と答えた65歳以上の男性131人、女性69人)

  • 従業員モチベーションアップのコツ、ボーナスよりも効果的なのは

    企業の中には、営業の仕事をしている部署にノルマを課しているところも多い。 そしてそのノルマをクリアすると賞与が多く支給され、逆にクリアできないと賞与がなくなる、または降格などのペナルティが課されるといったケースもよく耳にする。 一見シビアで、やればやるほど賞与が上がり業種によっては良い制度のように思われがちだが、このような制度を導入している企業の中には、うまくいっていないところも多い。場合によっては半期の賞与が数百万と支給されるにもかかわらず、人はどんどん辞めていく。 どうしてそのようなことが起きるのだろうか。