株式会社電通パブリックリレーションズは2018年7月、2019年3月に卒業予定の内々定・内定を1件以上獲得した大学生/大学院生1,000人を対象に「採用版・魅力度ブランディングモデル」をもとにした就職活動調査を実施。このたび、結果を公表した。
「採用版・魅力度ブランディングモデル」をもとにした就職活動調査 普段から自社の魅力を高めておくことが採用にも好効果

■調査ではまず、「就活を通じて企業を好きもしくは嫌いになったことがあるか?」と尋ねると、結果は以下の通り。

・好きになった経験がある…78%
・嫌いになった経験がある…43.6%
・印象が変わった経験はない…11.7%

企業を好きになった経験がある就活生のうち73.3%が、周囲の人に優良企業だと伝えたり、商品・サービスを購入や利用したりするなど、何らかのポジティブなアクションを実行していることがわかった。

また、企業を嫌いになった経験がある就活生のうち48.9%が、周囲の人に企業のネガティブな情報を伝えたり、周囲の人に就職先や転職先として選ばないよう勧めたりなどしており、就活自体が企業ブランドに影響を与えることがわかった。

■次に、「就活生が選考を受ける上で重視した企業の魅力」について尋ねると、「選考を受ける前まで感じた魅力」でも「入社を決める際に感じた魅力」でも、ともに1位は“就業的魅力”である「自分に合った雰囲気の職場環境(どちらも58.0%)」となった。

また、「入社予定企業に取り組んでほしい社会課題・社会トレンド」を尋ねると、結果は以下の通り。(上位3位まで記載)

1位:働き方改革(残業の削減、副業の解禁、在宅ワークなど)(54.1%)
2位:ブラック企業対策(31.6%)
3位:女性活躍(29.6%)

残業の削減など、働き方改革に関するもののポイントが高く、前述の魅力ランキング1位の“就業的魅力”に呼応する形となった。

就活生が就活期間だけではなく、普段からニュースなどを通じて社会課題・社会トレンドを自らの就職問題として捉え、その視点から企業の魅力を感じて選考に臨んでいることがうかがえる。

■次に、「入社予定企業の魅力を見聞きした情報源」と尋ねると、結果は以下の通り。(上位3位まで記載)

1位:社員・店員などを通じて(52.0%)
2位:企業が直接発信する情報(43.8%)
3位:インターネットでのクチコミや評判(39.5%)

「社員・店員などを通じて」など、直接の情報を重視する傾向が強いなか、3位には「インターネットでのクチコミや評判」が続いた。

ここでさらに、「最も見聞きしたメディア」を自由回答で挙げてもらうと、「クチコミサイト」が最も多い回答数を獲得。次いで「ニュースメディア」、「SNS」、「広告」、「書籍」の順になり、ニュースメディアでは、ポータルサイトやキュレーションサイトが多く挙げられた。

選考中や内定企業について、まずは社員との直接的接点を重視しつつ、客観的意見を口コミサイトからニュースメディアまで幅広く徹底的に調べられる情報環境も、昨今の就活生の大きな特徴といえる。

■次に、「就活中に有益だと思った企業発の情報源」について尋ねると、1位は「企業の個別説明会(リアル)」で62.6%であった。

これを“内定・内々定を5件以上取得している内定強者”に限定すると、全体と比べて、「リクルーターや人事面談」「OB/OG訪問」を重視している傾向が強く出た。

最後に、「就活中に有益だと思った企業発以外の情報源」について尋ねた結果を、全体と内定強者で比較してみる。(上位3位まで記載)

【全体】
1位:総合就職ナビサイト(71.7%)
2位:大学で開催される企業説明会(36.2%)
3位:掲示板型の就職クチコミサイト(34.0%)

【内定強者】
1位:総合就職ナビサイト(65.9%)(全体との差-5.8ポイント)
2位:大学で開催される企業説明会(26.1%)(全体との差-10.1ポイント)
3位:総合の就職クチコミサイト(26.1%)

全体、内定強者ともに、トップ2は「総合就職ナビサイト」、「大学内で開催される合同企業説明会」となった。しかし内定強者はこれらを重視する割合が全体に比べ、若干少ない。

内定強者が有益だと思った企業発以外の情報源で、全体より5ポイント以上高い数値を示したのは、「専門就職ナビサイト」と「転職者向けサイト」であった。

つまり、内定強者は、不特定多数に向けた企業による情報発信よりも、個別の情報発信や関心度や志望度でターゲットがある程度絞られた専門就職ナビサイトや、特定企業の転職情報を有益と感じ、客観的な情報からも企業の魅力を感じることができる情報源を有益と感じる傾向がある。

――今回の調査結果を見ると、企業は、採用期間だけ広報活動を行うのではなく、可能な限り真摯に就活生だけでなく社員にも向き合うと同時に、普段から自社の魅力を高め、就活生を惹きつけておく必要があると言える。

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