女性の活躍推進と少子化対策を両立させる

教育以外の人材投資として、大きく挙げられているのは、「女性の活躍推進」と「少子化対策、子ども・子育て支援」の2つである。

女性活躍を加速するため、働き方改革、女性リーダーの育成、男性の暮らし方・意識の変革、女性に対するあらゆる暴力の根絶、女性活躍を支える制度や基盤の整備等を、国はすべての企業や人に自発的に取り組むことを求めている。
また、女性活躍推進法の施行状況を踏まえた労働時間などの個別企業の情報や、育児等で離職した女性の復職に積極的な企業の情報などの公開を推進し、女性活躍情報の「見える化」を徹底して、前向きな取り組みを働きかけていく姿勢だ。

女性の活躍に欠かせない待機児童問題については、多様な保育の受け皿を拡充して待機児童の解消を目指すとともに、保育人材を確保するための取り組みも進められている。保育人材の確保では、保育士の処遇改善に加え、多様な人材の確保と人材育成、生産性向上を通じた労働負担の軽減、安心・快適に働ける環境の整備などが推進される。

少子化対策では、「人づくり革命」の検討テーマの1つである「全世代型の社会保障への改革」を実現することで、待機児童問題だけでなく子供の貧困対策を含め、少子化対策・子育て支援を拡充する方針が示されている。

「人生100年時代」に向けてさらなる改革が必要

「人づくり革命」では、人的資源管理論の権威であるリンダ・グラットン氏の提言をもとに「人生100年時代」が構想され、具体策が検討されている。グラットン氏は今後、より多くの人が100歳以上生きる時代がやってくるとし、そのような社会では、70代や80代まで働くことが当たり前になると予想している。そして、人々の人生は「教育→仕事→引退」という固定的な3つのステージモデルでなくなることが予測されるが、現状の制度はあくまで3ステージの人生を前提にしていると指摘している。

労働現場では、これまで人間にしかできないだろうと考えられていた仕事にも、次々とAI(人工知能)が使われる時代。
労働期間が長くなる一方で、既存の仕事には人間が不要になりつつある中、潜在成長力を高められるような人材を育成するためには、細かな調整だけでなく、今ある枠組みを超えた抜本的な改革が必要になるだろう。
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