就業形態が多様化する現代社会において、人々はどのような働き方を望んでいるのだろうか。日本労働組合総連合会(略称:連合)が、働く人が持つ生活意識や社会の理想像を把握するため「日本の社会と労働組合に関する調査」を実施した。調査はインターネット上で行われ、全国の15~64歳の勤労者(自営業・フリーランス、役員・経営者を除く)1,036名の有効サンプルを集計した。今回の調査結果から、働く人が抱く生活意識や社会の理想像を垣間見ることができる。
「長時間労働で高収入」より「ワーク・ライフ・バランス」  ~『連合』調べ、理想とする社会イメージに関する意識調査

まず、「現在の生活に満足しているか」との問いに対して、「やや満足」「とても満足」と答えた人の合計は、半数以上の54.1%。これに対して、「やや不満」「とても不満」を合計した「不満派」の割合は45.9%とやや低いものの、全体の4割半を占める結果となった。
男女別の満足度では、男性では50.8%、女性では57.0%となり、女性のほうが現在の生活に満足している人が多い傾向にある。また、世代別に満足派の割合をみると、40代は49.0%と最も少ないことが明らかになった。
「長時間労働で高収入」より「ワーク・ライフ・バランス」  ~『連合』調べ、理想とする社会イメージに関する意識調査
次に、「将来に不安を感じることがあるか」を質問したところ、「非常に感じる」が38.2%、「やや感じる」が38.3%で、合計すると約8割が「不安を感じる」と回答。男女別にみると、男性73.6%、女性80.1%となり、女性のほうが将来に不安を感じているようだ。
また、現在の生活満足度別にみると、満足度が下がるにつれ不安を感じる人の割合が高くなる傾向が顕著になった。
「長時間労働で高収入」より「ワーク・ライフ・バランス」  ~『連合』調べ、理想とする社会イメージに関する意識調査
さらに、将来に不安を感じることがあると回答した人(798名)に、具体的にどんな不安要素があるのかを聞いたところ、「老後の生活」が最も多く64.2%。次いで、「預貯金など資産の状況」が56.0%、「家計のやりくり」が52.4%、「自身の健康状態」が46.0%、「税金や社会保険料の負担」が43.7%、「仕事の有無」が41.5%と続いた。
世代別にみると、年代が上がるにつれ「老後の生活」に対する不安が高くなり、60代では82.0%と8割を超えた。その一方で、10~20代の半数以上は「仕事の有無」と回答した。
「長時間労働で高収入」より「ワーク・ライフ・バランス」  ~『連合』調べ、理想とする社会イメージに関する意識調査
「将来の日本は今より良くなっていると思うか」と質問に対しては、楽観的な回答は2割台にとどまり、7割以上が悲観的に捉えていることがわかった。

では、現代においてはどのような社会が理想と考えられているのだろうか。回答者へ相対する社会イメージを提示し、どちらの選択肢がより自分の考えに近いかを尋ねたところ、労働条件に関しては、「収入はほどほどでも、仕事と生活が両立できる社会」(82.5%)や「定年まで同じ会社で働ける社会」(65.7%)、「労働者や消費者などの意見が尊重される社会」(81.8%)を選択した回答者の割合が高くなった。
また、成長と格差、社会保障については、「緩やかな成長でも格差の小さい社会」(75.9%)や「税金などの負担は大きいが、社会保障が充実した社会」(64.5%)、「ローリスク・ローリターンな社会」(81.8%)を理想とする人が多数を占めた。
この結果について連合は「ワーク・ライフ・バランスを重視し、安定した雇用を求める傾向が強い」と分析している。

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