社員教育がうまくいかない理由とは

仕事のできない社員ばかりで困る。よく受ける相談である。そもそも仕事のできる社員が増えないことには売上もあがらず会社の発展もない。
 しかし、社員教育がうまくいっている会社は極めて少ない。なぜ社員教育がうまく行かないか、その理由は意外にはっきりとしている。

 私はセミナー講師として経営者、同業者、及び弁護士などの他士業に向けて話をする機会が多い。セミナー講師に求められる能力・スキルがある。それは、もって生まれたものではなく教育で身につけることが可能である。

 まず、次のAとBを見ていただきたい。セミナー講師に必要とされることを記載しているのだが、AとBの違いがおわかりだろうか? もっと言うと、AとBの関係を端的に指摘できるであろうか?

A 「堂々としていること」
「腹から声を出すこと」

B 「受講者の顔を見ながら話すこと」
「80分のセミナーでは120分の内容を作っておくこと」

 この問いに対して端的に答えられない会社は、社員教育がうまくいっていないのではないかと思われる。

 Aの内容で、教育していたらいつまで経っても良いセミナー講師にはならない。Bの内容で教育すると良いセミナー講師になる。

 なぜ、Aの内容で、教育していてもうまくいかないのだろうか?理由は簡単だ。
 「堂々としていろ」と繰り返し言ったところで、堂々としていられるようになるものではないからだ。堂々としていることが必要なことぐらい誰でもわかっている。それができないから困っているのだ。それにもかわらず、「堂々としていろ」と繰り返し言われれば自信喪失につながってしまうだろう。

 具体的に何をやればよいのかわからなければ、実行しようがない。Bには具体的な行動が書かれている。したがって、やろうと思えば今日からでもできる。

 まず。その違いだ。そして、さらに、もう少し両者の関係を考えてほしい。実は、Bの2つはAの「堂々としていること」のために必要な具体的行動が書かれているのだ。

 人間は1対1では緊張せずに話せるものだ。しかし、多くの人間を前にすると途端にあがってしまい話せなくなる。
その理由は、大勢の人に見られていると思うからである。

 したがって、向こうから見られているのではなく、受講生の顔をこちらから見るのだ。しかも、大勢の人ではなく、1人1人の顔を見るのだ。これで、大勢の人から見られているという状況ではなくなり、あがることはなくなる。優秀なセミナー講師は皆やっていることだ。

 「80分のセミナーであれば120分の内容で作る」というのも同じだ。セミナーで1番困るのは、時間が足らなくなることではなく、時間が余ってしまい、話すことがなくなることである。80分のセミナーであれば120分の内容を作成してくれば、時間が余ることはなくなる。したがって、あがってしまうことはなくなるのである。

 Bの内容で教育すれば、堂々としていることができるようになり、結果として優秀なセミナー講師となることができる。

 人間はどうしたら良いのか具体的な行動を教えてくれないとやりようがない。もちろん、自分で考える力も大切だ。しかし、具体的な行動については一切教えなければ、優秀な社員は出てこないのも事実だ。考えさせるのであれば、Bの内容をどうプレゼンテーションに応用するか、また、どう磨いていくかを考えさせてみてはどうであろうか。アイデアが次々と出てくるはずである。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

著者プロフィール

HRプロ編集部

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