突然だが、みうらじゅんが好きだ。
職業、漫画家・イラストレーター、らしいみうらじゅん。最近では、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるが、タモリクラブでうんちくを語るイメージあの人だ。

そんなみうらじゅんの仕事術について考るべく、著書「無い仕事の作り方」を読んでみた。

それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」(個人的には「一人ADK」と呼びたい)と呼ばれる手法「みうらじゅんの仕事術」とはどのようなものなのか。
仕事は作るもの

1+1=2でなく1+1=∞を目指す

「ゆるキャラ」は本来矛盾した言葉だ。ゆるいキャラクターなんてよくわからないし、成立するとは考えられていなかった中で、あえてゆるいキャラクターを作ろうとする。
この件について次のように述べている。

マーケティングやデザインといったものと全く無縁な代物。
しかし、そのピュアさになんだかグッとくるものがある。「ゆるキャラ」と名付けてみると、さもそんな世界があるように見えてきました。


事前準備
著者はサブカルチャーと言われることに抵抗があるそうだが、その仕事にはパターンがある。まず、誰も注目していないものに関心を持つ。そして収集する。著者はこれを「無駄な努力」と表現しているが、心理学的には実に効果的な方法らしい。

人は「大量なもの」に弱いということが、長年の経験で分かってきました。大量に集まったものを目の前に出されると、こちらのエレクトしている気分が伝わって、「すごい!」と錯覚するのです。

大事なことは仕事を好きになること。それがたとえ何であろうとも。

ブームとは、勝手な「誤解」

著者が「ゆるキャラ」に注目した理由は、その存在が面白かったので、世間にそれを伝えようとしたことらしい。実に単純だ。
「ゆるキャラというものをよく見かけるが、実に言い得て妙だ」
「日本独自の着ぐるみ文化に光を当てた」などと、もっともらしいうんちくを語る人々が現れる。ブームとは、この「独自の意見のようだが、実は便乗しているだけ」のことを言う人が増えたときに生まれるものだ、と思う。

接待相手
著者は多くの人に支持されるつもりで仕事をしていない、と述べている。

私の場合、そんな「喜ばせたい読者」の最高峰は誰かと言えば、それは母親です。そもそも母親を喜ばさなくて、どうして女の人を喜ばすことができるのでしょう。

こんな著者が仕事を受注するために接待が重要だと述べている。仕事を形にするために考えるのは母親と、目の前の編集者だけでいい、とも。(編集者は女の人ばかりなのかと疑問に思うが)
また、編集者は顧客でなく、ビジネスパートナーでだから、媚びるのではなく楽しく仕事をするための接待をすべきだと読み取ることができる。


本書で述べられているのは、
・コアファンを作ること
・事前準備の大切さ

等であり、私達が仕事で活用できるヒントがいくつも紹介されている。
かと言って、肩ひじ張って読むものでもなく、電車の中でも思わず笑ってしますようなエピソードを楽しむこともできる。
今の仕事の中に隠されているであろう、まだ見ぬ「ない仕事」の実現にチャレンジしてみるのもいいだろう。


社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭

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