『広島県民よ!もう待てぬ。すぐに受けたまえ!がん検診。』

広島県では、デーモン閣下(悪魔。10万53歳。)が、がん検診啓発特使に就任されて広報活動等を行っている。その活動の一環として、閣下から定期的にメールが届き、がんについての情報提供や啓発をしていただいており、大いに参考にさせてもらっている。また、国レベルにおいても現在がん対策基本計画に沿って様々な取り組みがされているところであり、少しずつがんに対する国民の意識は高まってきているように思われる。
もう待てぬ。すぐに受けたまえ! がん検診。

がんを知り、がんと向き合い、がんに負けない職場づくりを

そんな中、「従業員ががんになったのだが、どう対応すればよいだろうか」といった相談が寄せられるようになってきた。特に昨年はそれが続いた。結果的に円滑に進んだケースもあればトラブル直前の際どいケースもあった。いったいこの差はどこで生まれたのであろうか。以下その問題について探ってみた。

 まず、初期対応について考えてみる。
 がんであると診断されたら、まず行うことは本人と会社との間での話し合いである。多くの場合はその後入院や通院のために会社を休んだり、時短勤務をしたりすることになるので、社内において様々な連絡、調整をする必要があるからである。場合によっては長期休職が必要なケースもあり、今後の見通しや対応を双方で共有しておくことはとても重要であろう。その際、利用できる社会保険給付(傷病手当金、高額療養費)や会社の福利厚生制度などもきちんと説明しておきたい。
 そして、この初期対応については、会社間で差が出ることはほとんどなかったように思う。

 そこで次にその後の対応について考えてみる。
 ご承知の通り、がん治療は「退院=治療終了」ではない。その後も治療は続く。つまり治療を続けながら会社は復職に向けて支援をしていくことになるのであるが、会社間で差が出たのがこの場面であったように思う。

 ここで言う「会社間の差」とは、「がんに対する理解を基盤とした職場のチームワークの差」と言い換えることができる。現実問題として、復職支援は事前に思い描いた通りには進まない。例えば1週間の休みの予定が2週間に延長になることや、体力が思ったように回復せずに予定よりも遂行できる仕事量が少なくなるというケースがある。そうなると他の社員が過重労働を余儀なくされ、いずれ不満や不和が生じるのは必定であろう。そこでリーダーたる経営者の対応如何で差が出てくるという訳である。 

 円滑な復職支援を実現した経営者の対応を見ると、多くの場合経営者自ら直接フォローに入っている。具体的には本人へ声掛け、定期的な面談、他の社員に対する協力要請などをトップが率先して行っている。そうして職場全体で乗り切っていこうとする気運を高めているのである。この気運のある職場と無い職場では大きな差が生まれることは明らかであろう。
 ひょっとすると、こう考える経営者もいるかもしれない。「がんは私傷病だ。私傷病で働けなくなったのなら労働契約を終了して当然だ。治ったらまた労働契約を結び直せば良いではないか」と。

 実際に勤務者の34%が解雇または依願退職をしているというデータがある。(厚労省資料「がん患者の就労や就労支援に関する現状」)
 しかしこれはがんについて余りに無理解であると言わざるを得ない。がんについて少しでも勉強すればがん患者であっても仕事を続けることが可能であることが分かるからである。経営者ならば先ず雇用の維持を考えるべきだろう。結果的に退職という道を選ばざるを得ない場合もあるだろうが、それは本当に最後の選択肢のはずである。

 以上を一言でまとめると「情の深さ」があるかどうかということになろう。困っている社員に対してどう行動で示すのか、会社の真価が問われている。あなたが経営者なら皆がその言動に注目している。ぜひ情の深さを示して、より強固な会社づくりを目指して頂きたいと思う。


出岡社会保険労務士事務所
社会保険労務士 出岡 健太郎

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