10月から日本テレビで始まった水曜午後10時からの『ダンダリン一〇一』。労働基準監督官を主役においたドラマで、第1話のタイトルは「働く人を守りたい…ブラック企業に制裁を」という内容だった。人事の仕事に携わるみなさんも気になるドラマだと思うが、学生は、マス・メディア、特にドラマからかなり影響を受けると思われる。
学生が感じる「ブラック企業」とは?

 まだ定義も曖昧な「ブラック企業」という言葉ではあるが、就職活動をしようとする大学生たちにも影響を与えていることは間違いなさそうだ。「ブラック企業を気にする」と答えている学生は全体の85.9%に達している(文化放送キャリアパートナーズ 「ブラック企業を受けないように気にしていますか」アンケート調査より。下段のリンクから調査レポートを確認できます)。

 2008年には「ブラック企業」という言葉を冠した書籍が発売され、翌年に映画化。2008年の新語・流行語大賞で流行語トップ10に「蟹工船(ブーム)」が入り、こちらも翌年に映画化。書籍も若い世代を中心に人気を呼び、コーナーを特設する書店も相次いだ。戦前の労働者を描く小説が現代に復活した理由は、近年、格差が拡大し、貧困層の労働実態・生活実態は戦前と変わらないではないかと、若い世代が感じているためと指摘されている。

 9月から厚生労働省は、離職率が高かったり、長時間労働で労働基準法違反の疑いがある全国の約4,000社に対し、実態調査を始めている。結果として、重大で悪質な違反があるか、あるいは労働環境の改善が見られない場合には、企業名や違反内容を公表するとしている。

 学生から、「OB訪問をしたら、『うちの会社は“ブラック企業”と言っても過言じゃない働き方をさせられている』という話を聞いた」、「受けようと思った会社の社名をインターネットで検索すると『ブラック』というキーワードが出てくるので、どうしても見てしまう」、「内定をもらった企業がブラック企業だという情報があり、親から反対されている」等の相談がキャリアセンターに寄せられている実態もある。

 少なくとも従業員から学生に対して、「ブラック企業」というイメージが伝わってしまう状況は避けたい。選考に携わることになる従業員に対してはもちろんのこと、一般的に行われるOB・OG訪問対策も必要となるだろう。採用担当者としては、学生対応もさることながら、従業員対応にも気を配る必要もありそうだ。


HRプロスクール 講師 小山貴子
(ワークデザイン研究舎 代表 社会保険労務士)

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