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手当を有効に活用していますか?

HRプロ編集部
2014/09/25

当事務所は就業規則の作成を中心に行っているので多くの会社の賃金規程を拝見してきたが、「手当」を有効活用している会社は思いのほか少ないように思う。
 ご存知のように、一部の手当を除いて手当も割増賃金の算定基礎に入れないといけない。割増賃金の算定基礎から除くことを認められているのは家族手当、通勤手当、別居手当、子女手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超えて支払われる賃金に限定されている。

 もちろん、上記の名称がついていれば、全てが割増賃金の算定基礎から除いてよいわけではない。なぜ、これらの手当が割増賃金の算定基礎から除外することが認められているかについてはきちんとした理由がある。

 例えば、通勤手当が割増賃金の算定基礎から除外されなかったらどうなるかを考えてみればわかると思う。

 会社から住居が遠い従業員の方が通勤手当は高くなる。通勤手当を割増賃金の算定基礎に入れてしまうと、会社から住居が遠い従業員ほど時間外労働をした際の1時間の割増賃金の単価が高くなってしまう。どう考えてもそれは不合理である。家族手当もそうだ。家族が多い従業員の方が家族手当の額が多いのはわかる。そもそもそういう趣旨の手当だからだ。
 しかし、時間外労働をした際の時間外割増賃金の1時間の単価が家族の多い従業員ほど高くなるというのはやはり不合理である。1つずつ解説していくことはやめるが、きちんとした理由があるのである。

 最近、「手当も一部の例外を除いて割増賃金の算定基礎に入れなければならないのであるから、手当は廃止し基本給に組み入れよう」という会社が多いようである。確かに、趣旨のわからない手当は整理統合した方が良いが、手当の使い方によっては会社が抱えている人事の課題を解決することも可能である。会社が実現したいこと(または会社が評価したい従業員)を決めて、それを実現することができる手当を設けてはどうであろうか。

 例えば、従業員が遅刻した際の減給の制裁について相談を受けることがある。ご存知のように減給の制裁については減給してよい金額には労働基準法第91条によって制限があり、就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとなっている。その金額を超えて、遅刻をしたことを理由として減給をすることはできない。

 しかし、皆勤手当であれば平均賃金の1日分の半額を超えて差し引くことも可能である。皆勤手当は性質上、その金額が仮に1日の半額を超えたとしても、減給の制裁にはあたらない。「皆勤手当は無遅刻・無欠席の場合に支給する」としている会社が多いが、遅刻の回数に応じて皆勤手当を減額するというような規定の仕方も良いと思う。皆勤手当の規定の仕方によっては、さらに様々な使い方もできる。会社の方針として、遅刻厳禁としているのであれば、皆勤手当を有効活用することは大変に意味があることだと思う。

 「なんだ、結局お金か」と思われる方もいるかもしれない。しかし、手当を設けて支給するというのは会社の方針を示すという意味もある。手当の名称は給与明細にも載る。従業員本人も毎月見ることになり意識することになる。

 また、給与明細はご家族も見るのである。この事実は大きいと私は思う。例えば、家族手当一つとってもいても「なぜ、家族手当をつけているのか」を考え、名称を変えてみるだけでも想像以上の効果を発揮する。

 「家族手当は、家族に対して支給する」と規定している会社もある。「家族が協力してくれるから安心して働けるのだ」という趣旨のようである。この事実を知った従業員のご家族は会社に対してどのように思うだろうか?少し考えればわかることだと思う。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

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