株式会社リクルートマネジメントソリューションズは2020年8月25日、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」の結果を発表した。調査時期は2020年1月で、企業の人事担当者150名と管理職150名、合計300名から回答を得た。これにより、組織課題に対する人事担当者と管理職層の認識の違いや、管理職層が会社に求めるサポートの実態が明らかになった。

コロナ禍で管理職の負担は倍増

ビジネス環境が激変するなか、マネージャーや課長、部長といったマネジメント層の役割遂行の難度は高まっている。負担が増した背景に、「内外環境の変化」、「管理職本人の経験値」、「管理職にかけられる期待」など複合的な要因があるようだ。特に、直近では新型コロナウイルスの影響もあり、マネジメント層には状況に応じた臨機応変な対応と目標達成の両立が求められている。業務負荷が高く、そして複雑になる中で、組織マネジメントを管理職のみが担うことは難しくなってきている。

本調査は、このような状況におけるマネジメント業務における、人事担当者と管理職層それぞれの認識の違いに迫るべく実施された。

管理職層と人事担当者とで、組織課題の認識にズレ

はじめに、会社の組織課題の代表例を挙げ、人事担当者とマネジメント層それぞれに「会社の組織課題」としてどの程度あてはまるかを聞いた。「よくあてはまる」と「ややあてはまる」を合算しランキングにまとめたところ、マネジメント層の回答は「ミドルマネジメント層の負担が過重」が68.7%でトップに。続いて、「中堅社員が小粒化」が68%、「次世代の経営を担う人材が育っていない」が67.3%となった。

人事担当者の回答は「次世代の経営を担う人材が育っていない」が78.7%でトップ、2位は「中堅社員が小粒化」の72.7%となった。「ミドルマネジメント層の負担が過重」は3位の69.3%で、会社の組織課題として最も深刻に感じている項目について、管理職層と人事担当者間では乖離があることが分かる。
次に、人事担当者のみに「会社の3〜5年先を考えた際、人や組織に関する課題のなかで方針や計画に既に盛り込まれている項目」を尋ねた。最も多かったのが「新人・若手社員の育成・戦力化」で48%、次いで「人材の定着率向上(離職率の軽減)」が39.3%、「次期経営幹部育成」が34.7%などとなった。

「そのうち最も重要だと思うもの」を挙げてもらったところ、「新人・若手社員の育成・戦力化」と「人材の定着率向上(離職率の軽減)」が、ともに16.7%で1位だった。いっぽうで「管理職の負担軽減」を最重要課題とした人事担当者は2.7%のみ。ここからも、人事担当者とマネジメント層の認識の違いがうかがえる。

人事担当者・管理職層ともに「人材育成」が「管理職の最も重要な役割」と回答

また、人事担当者に対し、「管理職層に対して期待していること」を聞くと、最も多かったのは「メンバーの育成」で50%と過半数が回答している。以降、「担当部署の目標達成/業務完遂」(33.3%)、「部署内の人間関係の円滑化」(26.7%)と続く。

次に、管理職層に対し、「管理職として重要な役割」についての考えを聞くと、「メンバーの育成」が54.7%と最多で、人事担当者と同様の結果だった。また、2位は「業務改善」と「会社・事業の戦略テーマ(重点テーマ)の推進」が共に30.7%となった。このことから、双方共に「メンバーの育成」が最重要課題であると認識しているようだ。

約6割の管理職が「メンバーの育成」に悩んでいる

さらに、管理職層に「日々の管理職業務で困っていること」を聞いた。すると、最多回答は「メンバーの育成」で56%となった。以下、「業務改善」が52%、「目標達成のための業務推進」が46%と続く。
今回の調査で、ビジネス環境や社会情勢の変化によりマネジメント層の負担が増大傾向にあるものの、組織の重要課題としては認識されにくいという側面が浮き彫りになった。マネジメント層に対するサポート体制の充実だけでなく、組織全体の認識を変化させていくことも、今後必要となりそうだ。