傷病休職による変化と適応するための職場復帰の方法

一般的に、問題は「環境の変化」と「その変化への不適応」という2つの原因により発生する。これは、従業員がうつ病といったメンタルヘルス不調により休職した後の職場復帰においても同様である。従業員が発病して休職することも内部環境の変化であるから、その変化に適応した職場復帰の支援をしないと、うつ病が再燃・再発して職場復帰は失敗する。労使ともに変化前と変化後の状態を共通認識にしたうえで、変化に適応するための就業上の配慮を検討することが職場復帰を成功させる要因となろう。

「環境変化」と「変化への不適応」によるストレス関連疾患の発生

ストレッサー(ストレスを引き起こすような刺激・因子)によるうつ病といった健康障害発症の原因には、下記の2種類がある。

(1)職場のストレス要因が外部環境または内部環境により変化しているのに、その変化への適応をしなかったこと

(2)以前より職場での人間関係といった問題が顕在または潜在しているのに、管理監督者がその要因に気づかなかったために問題を改善できなかったこと



経営戦略は環境変化への適応パターンを将来指向で示す経営上の指針だ。この指針を決定するために、環境分析をおこない、外部環境や内部環境の変化を把握したうえで、戦略方針や経営計画を策定するので、経営戦略は絶対不変のものではない。これは労働安全衛生の分野でも同様であり、健康障害の原因となる環境変化を把握し、労働災害を予防する措置を講じることが必要である。この変化に適応できなかったときに(1)の原因により、「ストレス関連疾患」が発生するのだ。

他方、本来は予測できた問題や環境変化に気づかなかったために必要な措置を講じることができないという(2)の原因により、「労働災害」が発生することもある。

いったん病気が発生したのであれば、これに迅速かつ誠実に事後対応するとともに、病気の原因や環境変化に気づき、その適応パターンを検討して実行することが必要である。本来ならば、あらかじめ想定できる「病気における危険性と有害性」のすべてを除去すべきだが、完璧になくすことは困難であろう。しかし、病気が発生した場合には事後対応に終始するにとどめてはならない。一度起こった事象である以上、想定の範囲内になったのだから、その教訓を活かして予防管理を十全なものとし、変化する環境への適応パターンを得ることが肝要である。

以下では、特に(1)の原因について、うつ病といったメンタルヘルス不調による休職から職場復帰をする際の対応策を述べることとする。

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HRプロ編集部

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