東京でのオリンピックが決定し、会社においても「外国語が話せる。」等の理由で外国人を雇いたいという会社も多いのではないか?
以前は外国人雇用というとサービス業等、一定業種に限られていたが今では業種によって、事務職のような業務に就くために外国人を募集する会社も見られるようになった。外国人を雇うことは、日本人を雇うのと異なり困難が多い。
外国人に入社してもらいたい、法律上の手続きはどうすればいい?

 その理由は大きく2つ
(1)雇用の手続きの困難さ
(2)雇用前、後の慣習、風習の違いによる困難さ

 実は、(1)に関しては煩雑だがクリアできることが多いが、(2)の慣習、風習は非常にトラブルが多い。ご存知のとおり、我が国には独特の雇用慣行があり、法律もその慣行に即したものも多い。そのギャップについては十分に配慮する必要がある。

 まず、(1)の雇用の手続きについて。
1.どのように募集をかけるか?
 外国人の募集をかける際、日本人と同じようにハローワークという手もあるが、それ以外に主なものとして次のようなものがある。

(a).東京外国人雇用サービスセンター
メリット:公的機関なので、無料で相談を受けている。
デメリット:高度な専門技術をもつ者の求人をかけるなら他の媒体の方が適している。

(b)新聞、雑誌等
メリット:新聞、雑誌等の購買者層に対する求人(英語が話せるホワイトカラー等)が集まり易い。
デメリット:求める人材が来なくても一定限度の出費がある。

(c)民間職業紹介機関
メリット:求める人材を機関に伝えることでコアな人材の採用が可能。また機関が求職者とのマッチングをすることでミスマッチが少ない。
デメリット:一定の成功報酬制を採用している機関が多く、多くの費用がかかる。

(d)自社のHP、SNS等
メリット:費用がかからない。
デメリット:トラブルがあった場合の解決手段は当事者間で対応しなければならない場合も。

2.在留資格の確認
 職業紹介機関等一部の媒体以外は、募集する会社側で、応募してきた外国人が日本在住なら、在留資格の確認をする必要がある。日本にいても在留資格が「留学」「家族滞在」であれば就労できない。就労するための変更手続きが必要になる。パスポートで「在留資格」を確認する。

 次に(2)雇用慣行について。
 日本人と同様、労働条件を伝えなければならないが、日本語で記載されている労働条件通知書、就業規則では理解されない場合もある。母国語で翻訳、記載されている労働条件通知書、就業規則を用意し、内容を伝えていく必要があるだろう。契約社会の欧米諸国では日本人のように「伝えていなくても社会常識で対処していく。」という考えが薄いので、はっきり伝えていく必要がある。例えば有給休暇については日本と諸外国で取得日数等に大きく差があるので、「日本の法律はこのようになっている」「取得のためにはこのような方法で行ってください」等、ひとつひとつ時間をかけて伝えていくことが必要である。
 また、業務内容についても日本人なら主たる業務に付帯する業務は当然の如く業務として認識されることが多いが、国によっては、それが許されない場合が多い。また始業終業時刻に関しても、フレックス制のように始業終業時刻を従業員判断にしている場合を除き、会社が決めている訳だが、「遅刻した場合は、その分終業時間を遅らせればいい。」と独自の判断をする人もいるので、しっかりと伝えておく。

 そして社会保険の適用だが、これは、原則、日本人と同様だ。外国人だから社会保険適用はしない。という理由は許されない。

 「外国人雇用の際の契約内容をきっちりと説明する。」というものは、実は日本人を雇用する場合でもここ最近は求められているものでもある。
 「阿吽の呼吸」という言葉があるが、これは雇用の契約の場では通用しないと思った方がいいだろう。


京浜労務コンサルティングオフィス 宮澤 誠誠

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