組織をなぜつくるのか? チームビルディングの秘訣

ファシリテーションという言葉をご存知だろうか?
このコラムをお読みいただいている勉強熱心な方にとっては当たり前のことであろうし、ファシリテーションとは何かを説明したいわけではない。したがって、ここでファシリテーションについての説明はしないが、私はそのファシリテーションを学ぶ勉強会に2年半通っていた。講座ではない。ワークショップを主催するという実践を通じてファシリテーターになっていく勉強会だ。
 しかし、この勉強会は少し変わっていた。1人でワークショップを主催しファシリテーターをやるのではなく、6人でチームを組んで行うのだ。チームのメンバーは一緒にやりたい人を自分たちで選ぶのではなく、勉強会の主催者がチームを勝手に編成する。しかも、メンバーは半年から8ヶ月ごとに変わる。一緒に行うチームのメンバーはバックグラウンド、現在置かれている状況、立場など全くのバラバラだ。そのメンバーが一緒に何をやるかというところから話し合いを始める。私の所属したのは4チームでワークショップを大きく4回主催した。「相互支援の場をつくる」「自分の人生のハンドルを握る」「非日常の中に自分をおくことで自分を見つめ直そう」「気がつかないうちに作ってしまった枠をとっぱらう」などをテーマに行った。行うテーマを決めるまでには大変な時間を要した。そして、本番では、6人で協力しながらいくつかのパートを二人一組でファシリテーターを行っていった。したがって、私がこの勉強会で学んだのはファシリテーションの技術というよりチームビルディングだった。

 私は研修講師を行うにしてもワークショップを行うにしても、それは1人で行うのが効率的だと思っていた。また、仮に組織で行うにしても、少数の集団あれば優秀なリーダーが的確な指示を出し、他の人間はその指示通りに動くのが最も効率が良いと思っていた。

 しかし、それは間違いであることを学んだ。そもそも、組織は1人ではなし得ないことを行うためにつくるものだ。そして、1+1が2ではなく、3にも4にもなるのが組織である。優秀な人間が的確な指示を出し、他の人間がその指示通りに動けば、確かに、1人ではできないことはでくるだろう。しかし、それでは、決して1+1が3や4にはならない。しかも、そのようなやり方では1+1が2になることすら稀であるのが現実である。

 この勉強会では、チームがうまく機能し1+1が3にも4にもなることをみな当たり前のように経験した。しかし、現実社会で中々そのような経験をすることは難しい。なぜだろうか?

 チームビルディングがうまくいくために最も大切なことは何であろうか?言葉にすると陳腐になってしまうが、関係作りだろう。関係作りの重要性は誰もが実感しているはずだ。会社での飲み会や社員旅行などはその目的から行っているのではなかいか。

 しかし、社員旅行や飲み会は手段にすぎない。交流を深めお互いを真に理解するために行うのである。それにもかかわらず、自分の話しかせず、相手の話に耳を傾けなかったりしていたら、かえってマイナスなのではないかとすら思ってしまう。

 この勉強会ではチームビルディングで最も大切なのは関係作りという考えのもと、お互いを知るためにひたすらお互いの話を聴き合うということを行った。飲み会、ミーティング、ワークショップ形式などで最低1か月に数日は行った。時間をかさねお互いのことをだんだんと理解するようになってくると、不思議なことが次々と起きてくる。

 相手を許せるようになってきたりする。例えば、仕事などで忙しくなってくるとチームのミーティングに参加できない人が出てくる。普通なら「みな、忙しい中集まっているのに何て自分勝手な人だ」と腹が立つものだ。しかし、その人が置かれている状況がどれだけ大変かを普段から聴き、その人を理解していると、そんな感情が薄くなる。

 自分のことを理解してくれていると、信頼が生まれる。何とか出席しようと頑張るようになってくる。チームが一つにまとまりどんどん良い方向に進むようになる。

 今まで、自分と価値観が違うと思っていた人間が根本では同じだったりすることに気づくこともある。自分とは価値観が違い受け容れ難いと思っていた人がなぜそのような価値観になったかを知ることもある。すると、そのような価値観を受け止めることができるようになったりする。

 それが、どのようなワークショップ(プロジェクト)を行うかという話ばかりに終始すると、そうはいかない。どう自分の意見を通すかを考え始めることになる。すると、チームの中にいくつかのグループができ、誰がどちらにつくかという話になってきたりする。ひどい場合は足の引っ張り合いが始まることもある。

 やはり、関係づくり、いや、お互いを知る時間を多く持つことが大切なのではないかと思う。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

著者プロフィール

HRプロ編集部

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