経営環境の変化:駅伝型・国体型からオリンピック型へ

   陸上1万メートルでケニアvs日本はどちらが強いか? 世界ランキングでは、1位から20位のうちケニアが12人で日本はゼロ。ところが201~300位では58名が日本。300位まででは、ケニアは47人、日本は102人もいる。なぜこうなるのか? 答えは、日本は駅伝チームをつくるからだ。

   箱根駅伝では10人の選手が走るが、チームは控えも入れて20人が必要だ。1万メートルの世界記録は26分17秒、日本記録は27分35秒だが、駅伝では29分台の選手をいかに大勢揃えるかが重要だ。駅伝チームは、とびぬけた選手よりそこそこ走れる選手をそろえて、穴を空けないのが必勝法なのだ。

 日本企業はこれまで駅伝型で人材を育成し、戦ってきた。しかし日本を代表する企業の経営者の皆さんに伺うと「わが社は金太郎飴だ。これからは平均的な人材より、尖った人材がいなければ勝てない。そこそこのクオリティで給与の高い人たちの集団では勝てない」とおっしゃる。

 経営環境は変化している。かつては「国体」で勝てばよかったのが、今では多くの企業が成長の場を国外に求めていて、「オリンピック」でメダルを取らなければ一流企業とは呼べない。日本企業は「改善」「改良」が得意で、そこで勝ってきたが、これからは「パラダイムシフト」、つまり考え方をガラッと変えなければならない。そのためには一芸に秀で尖がった人材を育てることが、「それなり」の人材を揃えるより重要になってくる。

 「それなり」人材とは、とりたてて欠点も無く、どんな仕事もそつなくこなす「受験秀才」人材だ。受験勉強の要諦は2つある。一つは「正解」をいかに効率的に量産するかである。入試の問題には必ず1つだけ正解があり、複数の正解がありそうな問題は悪問と言われる。人事の皆さんは、正解のない問題を解く人材、または問題の設定自体を自らやるような人材を欲しているが、受験勉強はそうではない。

 もう一つは苦手科目の克服だ。英語がすごく得意でも数学ができなければダメで、一芸に秀でるよりは全科目がそこそこできる人間がクリアできる仕組みが大学受験である。企業は採用するときに、文系については大学教育に期待していないそうなので、18歳のときにどれだけ受験勉強をしたかで採用しているのと同じなのだ。

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