従業員のメンタルヘルス対策は、社員の福利厚生面にとどまらず、組織の生産性向上や企業のリスクマネジメントの面からも企業の大きな課題となっている。この分野で人事担当者が知っておくべきこと、対応が求められることは何だろうか。
HRプロ代表 寺澤康介が斬り込むキーパーソン・インタビューシリーズ、記念すべき第1回のテーマは「従業員の健康管理に企業はいかに取り組むべきか」。メンタルヘルス対策ビジネス最大手にして、サービス開始からの相談累計1,350万件を超える健康相談サービスのリーディングカンパニーでもある、ティーペック株式会社の代表取締役社長 砂原健市氏をお訪ねし、企業のメンタルヘルス対策の現状、労働安全衛生法改正の動き、さらには企業力向上につながる健康戦略の考え方などについてお話をうかがった。

企業のメンタルヘルス対策の現状と課題とは

寺澤 従業員の健康管理に関して課題意識を持つ企業が増えているようです。特に、メンタルヘルス問題が深刻だという声はよく聞かれます。現状をどのように捉えていらっしゃいますか。
砂原 メンタルヘルス不調による欠勤者、休職者への対応に苦慮されている企業が非常に多いですね。労務行政研究所の調査データでは、メンタルヘルス不調のため1カ月以上欠勤・休職している社員の全従業員数に対する割合は平均して0.45%です[図表1]。従業員約200人に1人が1カ月以上欠勤・休職している計算になります。また、精神障害に関する労災の請求も多くなっています。厚生労働省の調べによれば、平成21年度以降、請求件数は年間千件を超え、請求後に受理された決定件数も、労災が認められて支給が決定した件数も、年々増えているのが実態です。平成24年度は精神障害にかかわる事案の支給決定件数が前年比150件増の475件と、過去最多になっています[図表2]
そうした中で、メンタルヘルス対策に取り組まれる企業も増えています。これも労務行政研究所の調査データですが、何らかのメンタルヘルス対策を実施している企業はすでに全体の86.5%に上っています[図表3]。具体的な取り組み内容は「電話やメールによる相談窓口の設置」、「カウンセリング(相談制度)」、「管理職に対するメンタルヘルス教育(ラインケア)」が上位3つで、特に従業員1,000人以上の企業では80%以上がこれら3つを実施しているという調査結果が出ています。このように、メンタルヘルスの問題が増え、多くの企業が対策に取り組まれている状況ですが、問題点もいくつかあると見ています。

寺澤 どのような問題点でしょうか。
砂原 ひとつは、健康管理が健保任せになりがちで、従業員を預かる企業が組織として積極的に取り組む体制になっていないケースがまだ多いように見受けられることです。また、メンタルヘルスだけが重視されていて、メンタルヘルスを含むトータルな健康管理という視点で取り組まれている企業はまだ多くありません。メンタルヘルス対策としてEAP(Employee Assistance Program=従業員支援プログラム)を導入される企業が増えてきましたが、日本のEAPはメンタルヘルス対策に限定されている場合が多いのが実態です。しかし、EAP発祥の地であるアメリカでは、メンタルヘルス関連をその一部として、非常に幅広い支援サービスが従業員に提供されています。さらに、現在の企業のメンタルヘルス不調者への対応は、うつ病などが進行してしまった段階からなどと遅い場合が多いため、治るのに時間がかかったり、休職したまま退職に至ったりするケースが少なくありません。もっと早く、疑いがある段階で対応して病気の発生を未然に防ぐことが必要です。

健康対策が企業力を左右する時代

寺澤 なぜ、メンタルヘルス不調者がこれほど増加しているのでしょうか。・・・

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労働安全衛生法改正の動きに対して、企業はどう対応していくべきかなど、人事担当者必読の内容となっています。

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