ビジョン、戦略、オペレーション(現場)を根底で支えるのは企業理念

入社2年目が大ヒット商品を生み出す企業の現場力

現在の日本は、過去50年の成長曲線が下降し始めていると同時に、次の50年の成長曲線が上昇し始めている時期だ。そのなかで、企業は二極化している。過去の戦略を引きずってなかなか成長できない企業がある一方、もう一度原点に戻って自分たちの成長を作っていこうという企業は元気だ。日本という国の成長、日本の産業の成長に乗っかり、後追いすれば成長できる時代は終わった。自らの手で成長をつくり出せる人をどう育てられるかが、今後の大きなポイントになる。
「現場力と企業経営」
その成功例として紹介したいのが、アイスキャンディ「ガリガリ君」を主力商品とする赤城乳業だ。去年秋にコーンポタージュ味のガリガリ君を発売し、3日で店頭から消える大ヒット商品になったが、私はこれを開発したのが入社2年目の若手社員だと知り、興味を持って取材に行った。赤城乳業では、入社1年目、2年目だろうが関係なく、商品開発だけでなく、営業でも生産でも20代が大活躍している。、若い人たちに思い切り仕事を任せているのだ。コーポレートスローガン「あそびましょ。」の精神が浸透し、何でも自由に言える場作り(言える化)が行われていて、現場の社員のモチベーションがとにかく高い。

 未来に向けて伸び続けるために必要だと経営者は決断し、2010年、本庄早稲田に120億円を投じ新工場を建設した。いまどき日本国内でこれだけの規模の工場を新設する話はめったに聞かない。「みせる(見せる・観せる・魅せる)工場」をコンセプトにお客様にも取引先にも来てもらっているが、見学希望が殺到し、予約がいっぱいだという。現場は現場にしかできないこと、経営者は新たな成長に向けて経営者にしかできないことをやっている。その結果、非常に組織全体が活性化し、売上高も伸びている。国内市場だけで、自分たちの手でまさに成長をつくっている。

戦略は他社も同様。実行能力の差で勝負が決まる

現場力は非常に大事だが、現場力だけで経営が成り立っているわけではない。経営において必要なものは3つある。これらは3層のピラミッドを構成し、最上層にあるのがビジョンだ。10年後にどんな会社になりたいのか、みんながわくわくするようなビジョンを掲げる。旗が立っていない組織は活性化しない。真ん中の層にあるのが戦略だ。自分たちは「何を」具体的な価値として生み出していくのかをよく吟味することである。一番下の層にあるのが、ビジョンと戦略を実行する現場だ。製造やサービスや営業といった現場の能力を高め、モチベーションを上げることがなければ、ビジョンも戦略も結果につながらない。

 これからの経営はビジョン、戦略、オペレーション(現場)という3つの観点から考える必要がある。だが、特に戦略は真似されやすく、同業他社の中期経営計画を見ても大差ないのが現実だ。つまり、やろうとしていることでは差がつかなくなっていて、実行できるかどうかで差が生まれてくるのである。だからこそ、実行する当事者である現場の力を高めることが企業の競争力を生み出していく。

「ウェイ」こそが現場力の精神的な支柱

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